洗い終わった洗濯物を干し終えれば、お話し会が始まる。子供たちが嬉しそうに、革とあたしの周りに集まってくる。
何の話をしようかと革と相談し、親の絡みがほぼない赤ずきんちゃんの話にしようと決まる。あまり、童話を覚えていないっと言って語り手は革に任せてあたしは子供たちと一緒に聞くことに。


「“赤ずきんに狼が声をかけてきました”」
「革の言う、赤ずきんは赤い頭巾を被った女の子ね」

革の話に、付け足すように告げれば子供たちの後ろで「うんうん」とカナテが言い、カンナギが「それで?」と口にする。
いつの間にか混ざりながら聞いている、カナテのカンナギの姿があった。大人しく座って、聞いてくれればいいのだがそうもいかない。

「“狼は先回りして赤ずきんのフリをしておばあさんを食べてしまいました”」
「孫かどうか気づけ、愚か者」
「“狼は今度はおばあさんのフリをして”…」
「狼、芸がねー!バレるってフツー」

なぜか子供たちよりも食い付く2人。っというか、この話は簡略すぎなんだが面白いんだろうか。
結局、カンナギの解釈による「なに赤ずきんも食われた!?血は争えんな!」と、カナテの「うは、どっちもバカさ、バカ!!」という大笑いで終わった。

「アラタ!ミツカ!赤ずきんに“もう次はねェ”って言っとけさ!」

子供たちが離れていったところで、カンナギが「それはそうと」で話を切り替える。コトハが見た“大人”のことだ。丸3日、島中を捜したがいないとカナテがいう。

「ちゃんと見たか采女に聞いてこい!“夢でした”じゃすまんぞ!」
「采女じゃなくて、コトハですよ」
「ふん。ところでミツカ、お前もちゃんと捜しているのか?お前も来い!!」
「え!?カンナギ、なんであたしだけ」
「アラタは、采女に伝言。お前は暇になるだろ」

革はまあ行って来いっと口にし、ナグもナルが心配らしくコトハの方へ向かうため、その場に残った。
あたしは引っ張られながらも「へいへい」と言えば、どこのオヤジだっとカンナギに突っ込まれる。カナテは面白そうに肩をポンと叩いて「ごしゅーしゅー様さ!」と口にした。
何を言われたのか疑問に思えば、カナテの言葉が違うことに気付いた。


ここは、丸型建物だが中の造りは純和風の屋敷ようで屋根裏が存在しているようだ。

「…ねえ、屋根裏って」
「そうか!!」
「ん?」

「……一か所だけ捜していない!!俺の国と家の造りが違うせいでうっかりしていた!」

何かに気づいたようでカンナギは走り出してしまう。あたしも追いかけるように走るが、カナテは「子供たちと遊んでくるさ」と言って逆方向に足を進めた。
カンナギを追えば最上階に着くのだが、なぜかナグとナルもそこににいる。カンナギは2人にはお構いなしに、屋根を何度か叩いて空洞であることに気づき屋根を突き破った。そこは、想像通りの屋根裏になっていた。


「!?、なんだお前――――!?」

「カンナギ?何かいたの?」


屋根裏で覗きこんだカンナギの後ろから顔を出せば、そこには土偶のような長身の人間のような生き物がいた。

「ちょちょちょっと、あれって何!?不気味なんですけど!!」
「知らん!まさか、お前が鞘…!?」

あたしたちの言葉にナルが見つかっちゃったと口にした。目の前にいるものが“オトナ”であると。しかも、その場所には一体というべきか1人じゃなく何人もいる。
“オトナ”が『イイコ』っと口にし、あたしたちに向かって走り出してくる。その勢いに屋根裏が崩れ始めた。


「失敗した“オトナ”は中身がないから言葉が通じないよ」

「!?」

ドォォンっと音を立てて不気味と言っていいぐらいに何人もの“オトナ”が落ちてくる。

「これが、大人って気持ちが悪いよ―――っ!!」
「ミツカ、お前はそこのガキ共、抱えて走れ!!」
「分かってる!!」


 * * *


革は湯あみ後のコトハに遭遇してしまっていた。思い掛けない状況に内心、吃驚で運がいいというか悪いというべきか。タオル一枚のコトハに対して平常心が保っていられるのか。


「ホントに分かってますか?私がアラタ様だけ大好きだってこと!
 アラタ様、あれから全然平気なカオしているんだもん。やっぱり私のことなんとも思ってないんだ―――」

なんて返せばいいのか分からなかった。コトハが好きなのは俺じゃなくて“アラタ”なのだが、もしものことを考えたら―――――

「あの…コトハ、俺」
「え?アラタ様……血が!!」

コトハの肩を掴んでいれば鼻から血を出してしまっていた。鼻に詰めるものを持ってくると言って、ベットに寝ているようにと指示をされる。

「(俺は今、何を言おうとした……?)」

落ち着いて、冷静になれば分かる。やっぱりコトハには、コトハの知る“アラタ”でないことを伝えようと考えれば、そこへ慌てた様子のナルが走ってきた。


「アラタの父様!!」
「ナル!?」
「早く!!広場で、オトナが暴れてる!!」






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