カンナギに引っ張られてついていった場所は、入ってきた門のとこだった。丸い扉に蔓草が頑丈に絡み合って、人の手では開けることが不可能な状態となっている。

「なんだよ、…さっきと同じ門じゃん」
「そうだよね。それにカンナギここって散々見たんじゃ?」
「ああ、だがこれを見ろ」

指差すとこには、門の下に「葉っぱ記号」ともいえるような、ぐるぐる描きに葉がついた絵があった。それは“神意”だという。つまりその劍神の力で子供たちごと、この島に閉じ込められていると。

「それって、“鞘”がいるってこと?」
「子供に気づかれないよう、どこかに潜んでいるんだろう」
「はっ、もしかして、ここの大人がいないのと関係してんじゃ…」
「隠れてる属鞘は放っておいて…お前は劍神――― “創世”を出せ」
「はあ!?」
「ええ!?」

革とあたしは、同時に声をあげた。いきなり、何を言うのかと。
後ずさるあたしたちに、カンナギは“創世”は他の劍神の力を無効化するだろうと言う。ここを出ることが最優先であると。

「“大王争い”の最中に、これ以上道草を食う気か?」

言っていることは分かるが、子供たちをこのままにしていいのかと考えてしまい革もあたしも、返せる言葉がなかった。



「きゃ―――――っっ!!」
「「コトハ!?」」

門の所に聞こえてきたのは、広場で眠っていたコトハの叫び声だった。その声に革とあたしは一目散に広場へと向かった。
コトハにどうしたのと側に行けば、誰かに頭を撫でられたと言う。その誰かが去ったっという方向は、屋敷を指していて戸が少し開いていた。革は確認するため、その戸へと近づいた。

「誰か見ていないの?」
「や、俺はコトハちゃんの声でびっくりして起きたとこ…」
「確認したけど、誰もいないぞ」
「だって、ホントに…」

不安がるコトハを落ち着かせれば、カンナギがどんな奴だったかと問い質す。その問いに「…“大人”…?」と疑問になりながらもコトハは口にした。
ここには、いない“大人”。もしかしたら“鞘”なのかも知れないっと、革とカンナギも同じことを考えていたらしく顔を見合わせた。
この騒ぎに、ナグやナルたちも「どーしたの?」と顔を出す。広場にいた子供たち全員も目を覚ましてしまったらしく、あたしたちを見つめていた。

「…革、この子たちをこのままにはしておけないよ」

何も出来ないあたしが言うべきことじゃないかも知れないが、放ってはおけない。革も分かっているようで「うん」と頷き、小声でカンナギに伝えた。

「カンナギ!もし鞘がいるなら捜し出さなきゃ」
「あ!?」
「ここを出るのは、こいつらのことをちゃんとしてからだ…!」


 * * *


あれから3日、現状なにかが変わったことはない。子供と遊んで世話をしてご飯を食べて、ここで眠っての繰り返しだった。

「(“降し”にこないってことは、俺やカンナギが同じ“鞘”だって気づいていないのか。コトハもやっと安心したし、危害を加える気はないってことか?それとも、実はいなくてコトハの夢とか?)」

水が汲める手押しポンプ式がある池にて、あたしは革と一緒に洗濯をしていた。
革は何か考え事をしている表情で、話してくれればいいのにと思ってしまう。そして出来れば、上を着て欲しいとは言えず、革の隣でしゃこしゃこっと洗濯物と睨めっこをしていれば子供たちが山になった衣類を置いていく。

「な!なに、この汚れた服の量はどこから!?」
「え?巳束、どうした…って、何これ!?」

ドサドサっと置いていく子供たちに、ついに声をあげてしまえば革もやっと気づいたようで汚れた服の山に目を見開く。

「助かるよ、ミツカの“母(カカ)様”!アラタの“父(トト)様”!」
「自分で洗わんかァ!!」

声をあげる革に、子供相手に落ち着いてっと告げれば革とあたしの間に入ってナグがしゃがんで洗濯を始めた。手伝ってくれて、ありがとうと伝えればコクンっとナグが頷いてくれる。
数人の女の子たちが、革にお話してと声を掛けて来た。

「今、洗濯中だからなぁ。あれ、コトハは?」
「コトハの母様なら、今ナルたちとお料理だもーん」
「そっか、そうだよな…。」

なぜか、隣で洗濯物を絞っている革は納得したような顔で頷いていた。その顔を、チラッと横目で覗けば仕舞いにはこちらを見てくすくすと笑っている。

「巳束って、料理は残念なんだもんな……」
「なにそれ!いつの話をしてんのよ。昔よりは、成長したって」
「そうなのか?ナグは、こいうやつとは一緒になっても損するだけだからな〜ぁ」
「ちょっと、ナグはこういう革みたいなのにはなっちゃダメだからね――っっ」

カナテの「オッホン!2人共見苦しいさ!」と、一声で止められる。ナグを挟んで革と言い争っていれば、真ん中にいたナグは物凄く困惑した顔であたしの顔を革の顔を交互に覗きこんで心配していた。


「ゴメンね、ナグ。ケンカじゃないから心配ないよ」




幼馴染みだから

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