「コトハちゃん、傷大丈夫か?」

コトハの傷のこともあって、あたしたちはしばらく休憩を取ることにした。「いいよな、アラター、ミツカ」っとカナテが声をあげる。
革はカナテの声に「うん…――――」っと返そうとすれば、コトハと目が合ってしまう。瞬時に思い出してしまうのが、先程のことで「お…俺、見てくる!ここらへん!様子っ!!」と、動揺しっ放しだった。

「いいけど。アイツ、なんか様子おかしくね?あ、ミツカは?」
「う、うん!それは、大丈夫だよ……あたしも、少しその辺歩いてくるよ」
「え?ミツカ!?」


革は、コトハにキスをさせたことで頭が舞い上がっていた。ちなみに初(ファースト)ですッ!!っと。
なんで俺こんなに意識、してんだ…?アレ、これってやっぱりって、
コトハの姿を思い浮かべていたが、一瞬 巳束の笑う顔が脳裏に過る。

「あーなんだコレ、すっげーモヤモヤする。どうしたんだ俺…?」

革は流れ落ちる湧水を見つけ、頭を冷やすように濡らせばミチヒノタマが光だし目の前の岩壁にアラタが映る。アラタは、天和国のことを教えてくれよっと口にした。
鞘同士が「大王争い」で「降し合い」が始まったことや、止めるために俺の使う劍神「創世」で劍神を束ねること。言わなくてはいけないことがあったのに出たのは「――“コトハ”」だった。


「お前はコトハのこと、どう思ってンだ…?」


「なんだ?あいつどうかしたのか?」
「えっ!?いや、なんとなく……」

コトハに見えるのは俺じゃなく“アラタ”であること。
アラタだと思って自分にキスしたことは言えず、その言葉を待てば「大切なモン」っと言われる。「妹?姉?、赤子んときから一緒だったろ、改めて考えたことなかったなー」っと。

「強いて言うなら、絶対に護ってやんなきゃいけねー存在。
 今の俺にはできねーけど、お前が元気ってことはアイツも無事ってことだ」

アラタは笑って「俺、お前のこと信用してっから」っと告げれば、ミチヒノタマの光が閉じていった。
革は、アラタに言われたことを思い返していれば自分自身が落ち込んでいくことにやっぱコトハに恋していたのかっと考えるようになっていた。そして気付いたとたんに失恋したと。


“絶対に護ってやんなきゃいけない” “存在”

「(それって俺と巳束の?)
 …そうだ、俺…あれから、巳束と顔合わせて」



 * * *



「バカ。覚えてなくて当たり前か…寝てたから。……でも、やっぱ コトハ可愛いもんな…」


その辺っという近くの岩のない場所へと歩きながらボソッと呟けば「ほう、アラタとケンカでもしたか?女っ!」っと、いきなり声を掛けられてしまう。その声に、振り向けばカンナギに腕を捕らえられてしまた。

「離して!何すんのっ」

「お前、手を上げるといい、威勢のいい女だな。まぁ、俺は嫌いではないがな」

「結構です!!叩いたことは謝りません!!
 それに、あたしは女っていう名前じゃありません!天海巳束っという名前があります」

ギュッと掴まれた腕に力を入れられ「ちょうどいい、アラタの場所まで案内しろ」っと口にする。その痛さに、顔が歪む。


「誰が言うと思ってんの?」

「減らず口も大概にしろ
 まぁ、いい。向こうから来たようだしな」



前を見て笑うカンナギの目線を追えば、そこに革がいることに気付く。


「え?巳束!?」

革もあたしたちに気付き走ろうとすれば、カンナギはあたしを放り投げるように押し出す。その行動に、革は戸惑い隙を見せてしまいカンナギに捕らえられてしまう。カンナギは片方の手で腕を掴み、首に腕を回す。

「スキだらけだな、アラタ!さあ、劍神を出せ!!」
「革っ!!えっ!?なんで火がっ」

革とカンナギの周りの地に、自然発火が取り囲むように起きてしまう。炎で革の元にいくことは行くことができないが、声は届いていた。
カンナギは革を押さえながら「このまま首をへし折られたくなきゃ、劍神“創世”を渡して貰おうか」っと告げる。

「なんで!?“創世”の鞘は俺だ!“火焔”の鞘のあんたじゃ使えないだろ」
「そう、お前がいるかぎりはな」

(革がいるかぎり…?)

「劍神は鞘と組み一体化する。…だが、その鞘が死ねば別の鞘を選ばざる得ない!“降す”以外に劍神を手にする唯一の方法だ」
「てか、それメチャクチャ荒技じゃん!?俺が死んだって“創世”があんたを選ぶと限ってないし!」

革の言葉に取り乱すように「分かっている!!それでもアカチを降すには、その“創世”しかない!!」っとカンナギは声を上げる。
カンナギは、アカチに劍神を奪われ手段を選べなくなってしまっていた。

「革!!」
「(…っそ、このままじゃ巳束にも危害が、)」

強まる腕の力に「…かったっ。腕を放せ!“創世”を渡すっ…!!」っと革が口にするのだった。







迷い、迷う

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