カンナギの火焔で部屋が炎で覆われると、巨大な土の剣(ツルギ)が地面から浮舟を貫いていた。屋敷へと、飛び下りればカンナギは「鎮まりたまえ!!」っと口にする。
部屋は燃えたが目の前には、幾つもの土の剣で覆われている蕾の形をした球体がひとつ。アカチは、それで身を護っていた。
土の剣が解かれたアカチに「オヒカを…力ずくで降しか!!」っと、声をあげた。


「…奴だけじゃない!!俺の属鞘を全員――!!なぜ一族郎党まで殺した!!」

「―――お前への“あいさつ”だ。“大王(オオキミ)争い”は始まっているのだカンナギ
 どのみち遅かれ早かれ降される弱き奴らだ、―――お前のようにな」



それは宣戦布告――、それだけのためにっとカンナギは劍神を持つ手に力を入れた。「ならばここで戦え、アカチ!!」っと、劍神をアカチへ向ける。
アカチもカンナギの言葉に「―――望む、ところ」っと告げ、自分の劍神の刃先を床に向ける。二人は同時に、口にした。


「「顕れたまえ!!」」


少し離れていた場所で見ていた革が「ウソだろマジ戦う気か、十二神鞘(シンショウ)同士で――!?」っと口にする。


「 “火焔”!!」「 “地龍”!!」


その神意によってドンっと幾つもの土の剣がカンナギに襲いかかるが、火焔に炎を纏わせながら宙を舞い、それをかわす。そしてアカチへと炎を飛ばすが、アカチは土の剣でそれを弾いた。
二人の放たれた攻撃によって、ドドドっと屋敷が崩れていく。アカチはカンナギの足場を狙い、土の剣で追い込んでいく。風を切るようにカンナギとアカチが激突する。


ガキィンっと刃が交われば、二人を中心に爆風が起こる。辺りは、すでに瓦礫と化していた。


燃え上がる炎に、地は地割れを起こす。
カナテが「うわっ、すっげ、これが十二神鞘の技かー!!」っと口にする。「危ないから下がって」っとコトハが注意した瞬間、ホニがコトハから掴まれていた手を離し走り出してしまう。
アカチたちがいた方向へと、向かおうとするホニに「ホニ!待って!!」っと声を掛けるが、届いていないようで足を止めない。

「待って!危ない!!」

白煙と土煙りのせいか前方から、アカチがかわし外れた炎がホニに向かっているのに気付いていない。それに気付いたあたしは、後ろから覆い被さり襲ってくる痛みを予測し目を瞑る。
だが、炎の衝撃はなかった。

「え…?何?」
「今、光った?」

あたしと、ホニが困惑すれば「巳束!!」っと口にし、再び襲いくる炎を革が劍神で払い除けた。払い除けた炎が、地に落ちればそこから地割れと火が上がろうとする。「顕れたまえ!!」っと口にし、それを治めた。
革はカンナギとアカチの力は“本物”だと感じていた。劍神があっても、今の自分には敵う相手じゃないと。
目の前では「…しつこくねばるな、カンナギ」っと告げるアカチとカンナギ。あたしとホニは革の劍神の神意によって、護られていた。


お互いが地と火の力を身体に纏わせ、アカチは言う。
そんなに、属鞘を失ったのが悔しいかと「奴らは俺の劍神の中で“生きている”。逢わせてやろうか」っと告げれば、ズンっとカンナギの周りの地面から劍神が突き上がった。
それは、カンナギの属鞘たちの劍神の姿。彼らが降った、果てだった。


「…取るに足らん下っぱの鞘どもよ。せいぜい俺の劍神に力を与え続けるがいい――」

カンナギは、属鞘たちのことを思い浮かべれば「っ、…だとお…ッ!!」っと、怒りのままに声をあげ火焔を向けられアカチの面が割れる。

「――失う苦しみは永劫続くのだ、カンナギ!!その右肩に刻まれた“罪”もな!!」


だが、アカチの“右肩に刻まれた罪”の言葉にビクッと足が止まってしまう。そのまま地龍に、絡め取られ地中に劍神“火焔”が引きずり込まれてしまった。


「あッ…カンナギの劍神が」

「え!?……額に傷」


その出来ごとに革とあたしが口にする。カンナギの劍神が奪われたこと。アカチの面がカランっと音を立て、落ちた。その無くなった額には逆十字の古傷があった。


「…劍神“火焔”は頂いた。勝負あったなカンナギ!!
 さあ―――俺に降るがいい!!」







赫に燃え地に流れる

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