「“ガトヤ”か」


カンナギは自分の浮舟にて、革たちがいる流刑地「ガトヤ」を見下ろしていた。
相変わらず陰気な島だと言い。そのカンナギに、兵士たちは「秘女王殺しの小僧に、何の御用が?」っと口にする。
カンナギは革が持つ、劍神が気になっていた。

「(鞘“ツツガ”は我々、十二神鞘にも属さなかった厄介者。すでに奴の“審判”で死んでいるなら、あの劍神もそれまでのもの――)」

ズンっという音が船にまで届き、建物が崩れかけていることにカンナギは目をやった。


 * * *


崩れかける建物に、逃げる者。ツツガに挑む者が現れたっと、それを見に走る者がいた。商店街のオソメや、その客たちも革を見守っていた。

どこまでも追い掛けてくる管に、ドッと打つかってしまう。息を上げ、せめてツツガの居場所さえ分かればっと思っていた。

「(劍神を止められれば!……いや、劍神を止める…!?俺こそ全然、劍神を使えないくせに…)」

グオッと伸びてくる管から逃げれば“どうした小僧!!そのさびた剣は使わんのか!?”っと告げられる。

細く伸びた管に足を持ってかれてしまい、管と管にドグッと体ごと当たってしまい宙に舞ってしまう。落ちる間際に管に剣を付き、体を支えた。
革はただ打つかっているだけで、何も出来ない状況に打ちひしがれてしまう。


「…っ…」

「(痛え…息ができない。もうだめだ、やっぱ無理…)」

“そろそろ終わりだ、ほかの者と共に死ね!!”


ギュルルっとカナテとギンチの側にいたあたしとコトハまで管に巻き上がれてしまえば、それぞれが苦しい顔をする。

「革!」

「アラタ様!」

「(巳束、コトハ……ごめん…俺には…もう)」

革なら出来る。自分を追い込まないで、あたしには力がないけど。
あの人が言っていた“君たちならきっとできる”の言葉。

「(無理…だ)」

傷つき眠る秘女王との約束。なぜそんな約束をしたのかっと、言われたことを思い出していた。

「っ、革!!革なら出来るよ――――!!」
「(巳束っ!!)」

その声に気付けば、革は管に立ち上がれば劍神を抜いた。「……そうだ、俺は」っと口にすれば劍神を空高く掲げれば告げる。

「劍神!!頼む!!顕れたまえ―――ッッ!!」


(応えられる、革なら―――ッ!!)

――― 俺は今度こそ、応えたいんだ!!


革の告げた言葉。劍神が神意に応えるかのように、大きな光を放ちガトヤを突き抜けるように広がっていった。それは、外にいるカンナギの所まで届いていた。

“神意!?それは劍神…貴様!!鞘か!!”

ガトヤのいる者、全員がそれを見ていた。革の姿に「あいつ鞘だったのか」っと口にし驚く者が多数。革の神意によって、管が吹き飛ばされていく。
革は「巳束!コトハ、カナテ、ギンチ!無事か!?」っと告げて降りてくるが、あたしたちがいた円台にビシビシっと音が響く。

「革、もしかしたらここに!?」
「分かってる!巳束たち、そこから離れろ!!」

その言葉と共に、地割れが始まっていく。「そこか!?ツツガー!!」っと口にすれば、地割れの中には巻き付かれた管があった。
巻き付かれた管が解かれれば、そこには体が黒々とした管になったご老人がいる。
周りで見ていた者たちが「あれが…ツツガ様!?」っと口にし「ジ…ジジィじゃねえか!!」と驚くように声をあげていた。

“…まさか、貴様なんぞが鞘とは…”
「あなたがツツガ…!?」

うっと顔を歪めるツツガの姿に、あたしは革とツツガのそばに走っていた。そして、その刺さっていた柄をあたしは手にしていた。


「巳束、なんで?」

「分かんない。だけど、この劍神のせいでしょ」

「ツツガ、苦しいのか?」


柄を握る手に革が重ねれば、ドクっと鼓動が高鳴るっと何かが頭の中に入ってくる。
それは、ツツガの若かりしき頃の過去の記憶だった。





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