ガトヤにいる人たちを、人間と思っていない“ツツガ”。その現状を目の当たりに、あたしたちは管が繋がる道を進んでいた。
カナテとギンチは、ガトヤの中心部に位置する広い部屋のなかで、管の塊を目の前に両手両足、首、体を繋がられた状態で意識を覚ましていた。


「ギンチ!!おい生きているか!?」
「兄ィ…?こ…ここは!?」


“愚かな罪人ども私は「ツツガ」この「流刑地(ガトヤ)」の番人――――――”


死をもって裁くと語るツツガに、カナテは俺らは何もしてないっと言えば“一度だけ無実を証明する機会をやろう”と告げた。


“己の無実をかけて「目の前の者」と戦うのだ!勝ったほうを「無罪」としこの「ガトヤ」から出してやる”


殺し合えっと告げるツツガに、カナテは「出来るかよッ!!こいつは俺の弟分だッ!!」っと声をあげる。
だが、ツツガは「無実の証明」を拒むのは罪人として罪を認めるっということ…っと告げ、二人は顔を歪ませた。


“さあ、互いの武器を取れ!戦え!!”


叫ぶカナテと「やだよ兄ィ…っ」と震えるギンチ。二人は繋がられた管から解かれ、その崩れ落ちた目の前には槍。
二人とも殺されることはないっと、カナテはその手に槍を持って「行くぜ、ギンチ!!」っと声をあげた。


 * * *


「革、コトハ!あそこっ」
「カナテ!?ギンチ!!」

通路の先に大きい窓ガラスに気付き、あたしたちはその部屋を覗きこめば円台にカナテとギンチがいる。ただ、その様子がおかしかった。

“己の無実を証明したくば、この流刑地(ガトヤ)から抜け出したくば戦え!助かりたくば相手を殺せ!!”

その聞こえてくる声に、あたしたちは二人が殺し合いをされていると気付けば怒りが止まらなくなってしまう。

「な、ふざけんなぁ――!!」
「ひでえ!!」

ツツガの言葉に声をあげるあたしと革に「巳束!アラタ様!」っと言うが「止めなきゃ、巳束とコトハはここにいろ」と口にする。だが、すでにあたしは動いていた。
窓の下にある台座の階段に降りれば、ドッドっと管が伸び掛かろうとする。


「巳束、危ねえ――ッ!!」


革に腕を引っ張られ「ごめん」っと呟けば「頼むから、本当に無茶はしないでくれ」と言われる。だけど、こんなの間違っているから止まってはいられない。

“なんだ貴様らは、我が「審判」の邪魔をするなら即刻、処刑するぞ”

ズズ…っと蠢く管があることに気付き「革、ひょっとしてアレに」っと口にすれば「ああ、あの中に“ツツガ”が」と、革も告げる。そして声をあげて言った。


「やめさせろツツガ!!あの2人は親友――――――」

“人は みな同じよ”
“自分が一番可愛い自分だけが助かりたい―――、あの2人もな”

ツツガの言葉に過ったのは、門脇と優が話していたあの場面だった。革を否定し、自分を護る為に門脇に「友達なんかじゃないよ」っと言った優。
だから革は、目の前で起こっているカナテとギンチの二人に対して「(お前らも―――?)」っと考えてしまう。

カナテが槍を振りかざすが、それをギンチが受け止めるだけの攻防に“…なにをしている”っと、ツツガは告げた。

“助かりたくば早く決着を付けろ!「ふり」は通用せんぞ罪人ども!!”

ギンチに蹴りを入れて距離を取れば、光る指輪が目に入る。それを見て、カナテは思い出していた。盗賊団に攫われ、一人泣いていたギンチをカナテは面倒を見ろっと言われた頃を。


「へっ、そうさ赤の他人じゃねェか…」
“早く殺せ!!”


カナテは頭上高くある管にトッと飛び移れば覚悟を決めていた。手に持っていた槍を高くあげ「悪ィな、ギンチ!次で決めさせて貰うさ!!」っと、口にして。

「うわあああッ」

その言葉とカナテの行動に、ギンチは泣き叫び目をギュッと瞑って手にしていた槍を振り上げた。


ゴツっと当たったのはギンチが振り上げた槍だった。カナテは直前に手を放し、ギンチの攻撃を受けることを決めていたのだ。崩れ落ちたカナテの決意は一つだった。

 
 『そうかお前、ギンチってのか。…んで、なににぎりしめてんのさ』
 『母ちゃんの…指輪』
 『そっか…大事にしとけ、俺がいつか母ちゃんらのとこ帰してやっからさ―――』

 『お前は、外へ…』


動かないカナテに、兄ィっと駆け寄ればツツガが勝負は決したっと告げる。“罪人はその小僧、そしてお前だ!”っと。その声と共に、ギンチへ管が巻き付いていく。
革が「!!、なに…」と声にすれば“私は罪を裁く番人。この者もたった今、罪を犯したではないか人殺しのな!!”っと告げた。


「「…ざけるなァァッ!!」」


革が手から劍神を出せば、ザクッと管を薙ぎ払う。管から解かれたギンチを、あたしとコトハが受けとめれば“なにを…邪魔をする気か!”っと告げる。


「許さない…これがお前の“審判”の正体か!!2人さらって!!戦わせて!!あげくにどっちも裁く!?」

「それは、あんたが作っているだけで“審判”じゃない!!」

「そうやって人の心、試してきたのか!!こいつらは、てめえのオモチャじゃねえんだぞ!!」


革と一緒に声を露わにすれば、ツツガの管が“ほざくな、罪人どもが!!”っと、あたしへと向かってくる。っが、革が目の前から来る管を振り払っていく。
向かってくる管に「そこから出てこいツツガ!!」っと叫ぶが、管の塊には何もなく革は管に振り払われてしまう。


「革っ!!「巳束!来るなっ!!お前はギンチたちを!!」」


「(俺が、護るから――)」



駆け寄ろうとすれば革は、それを制す。革は一人、太く伸びる管に立ち向かっていく。
それは、今までよりも酷く轟き、ドゴオッっと音がガトヤに響いていた。








応えたいっと芽生える

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