つまらないわけじゃないし、ストーリー的にはとても面白かったと思うんですよ。現に一〜二話は映画本編から見てきたロキの様子もありつつ、少しずれた時間軸で本編とはまたちょっと違ったロキが見れると思えたわけですし（そう。そう思ってた時がありましたね……）。
三話。これだけは本当にまじであの三話はいったいなに？？？って感じで。この三話で「あれ、これもしかして私が思ってた展開と違う方向にいく感じ？」となって、四話でちょっと持ち直して、五話は完全にクラシックロキに持っていかれて、それで最終回。謎解きタイムトラベルスリラーとかいう煽り文句どこいった？？？
あれほど予告でロキ！ロキ！！ロキ！！！って見せつけておいて、蓋開けてみたら「あ、ああ……まあ、ロキだけど……」な展開だったのがつらいです。

シルヴィとの関係性は正直な話この期に及んでまでストーリーに色恋沙汰持ち出すのかっていう。いや、自サイトで連載書いておいて何言ってんのって話なんですけど、マーベルは新しい登場人物の映画・ドラマ一発目は恋愛を入れないとダメな規定でもあるんですか？？
シルヴィとの新しい関係が嫌というより、その関係を築くにあたってあまりにも雑な描き方だったのでは？という気持ちが拭えません。義理とはいえ兄上との関係改善に映画三本ちょっと使ってるんですよ（しかもたびたび激強なヴィランを相手にしながら）。ロキが恋愛に落ちるとしたらそれは自分自身しかいないっていう解釈はとてもとてもその通りで、でもだからって一話分だけ（作中時間では何日も経ってない）共に危険を過ごしただけで、根性ひん曲がったトリックスターが恋愛に落ちるのかって言われても納得できなくて。それは10年mcuの世界の一端を担ってきたロキという人物をあまりにも簡略化し過ぎていないか？？

製作陣が新しいロキを生み出したかったのは分かる。10年間の中で新しいキャラクターも参戦してきて、オリジナル6がメインのフェーズも終わってしまって、その中でロキの新しい魅力を発信しなきゃって意気込んでたのも分かる。
だけど、とても嫌な言い方をしてしまうと、この配信ドラマのロキは新しいロキではなくて今までのmcuのキャラクターたちの後追いでしかないと思うんですよね。
オリジナル6が自分の存在意義や自分の過去を受け入れてきた描写は観客にウケた。兄上やキャップの人柄にちょっとコメディ要素入れたら魅力が増してファンにもウケた。そこにソー映画の根っこにあった家族の物語を入れよう。
みたいな要素をまあまあ入れてみたら出来上がりましたみたいな。ドラマのストーリーは先の二作品のドラマとは違った趣向だけど、ドラマでのロキのキャラクターはどことなく既視感があります。
ロキはおそらく「誰かの何か」になりたかったのかもしれないなと思います。王座につくことも、単純に王になることそのものよりも王座につくことによって認められたかった。父からの期待や母からの愛や兄からの憧れを得たかったもしくは確実なものにしたかったのかもしれない。それが回り回って今回のドラマでのシルヴィとの関係になったのかもしれない。だけど、それを描くにはあまりにも雑過ぎやしませんか。もっと、もっと丁寧な描き方があったと思うんです。

ぶっちゃけて言えば、この配信ドラマのロキは別に復讐後のロキではなくてもよかったのでは？という気もします。だって、二日で80人殺したっていう罪悪感やら何やらを楽しんでない、仕方がなかった、恐怖を呼び起こすためのトリックだとかなんとか自分自身を偽ってたからだとか何やら言ってそれで終わりだったわけですし。ドラマが進むにつれて兄上1とか復讐のときの自分の行いを振り返るのかと思いきや、自分はずっと孤独だったってこれから先も孤独であることが怖いって、それ兄上1でやんわり気が付いて大暴走したんじゃなかったの？？
先のドラマ二作品は、EG後の話っていうこともあってきちんとmcuの世界観を引き継いで、なおかつタイトルロールであるキャラクターたちを掘り下げて、そして今後のmcuの世界に期待をもたらしていたように思います。でも今回の邪神ドラマは、少なくとも復讐1までの時間軸ではあったはずなのに、もうなんというか、単純にmcuシリーズのキャラクターだよぉって軽い扱いだったような気がするんですよね。それは確かに復讐1からタイムストーンで逃げてきた先の話なわけだから、復讐関連とごりごりに繋ぐことは難しいです。それでもドラマのロキは兄上1〜復讐までのことを神聖時間軸のことだから〜とかってぽーんっとストーリーの端に投げちゃってるように見えてつらいです。

結局、今回のドラマってロキ自身の話を描きたかったの？ロキが自身と他者を受け入れる話？単にマルチバースの話を宣伝のように書きたかったの？
どれもこれもシーズン1の中でやろうとして、どれもこれも中途半端になってる気がしてならない。
それで、これは本当に個人の趣向なんですけども、もうそろそろとむひさんのためのロキだとかロキのためのとむひさんだとかいう扱いは終わりにしてほしい。何もとむひさんだからIWでのロキの死に泣いたわけではないし、とむひさんだからロキのその後のストーリーを追いたいわけじゃない。とむひさんがとても素晴らしくロキというキャラクターを演じてくれたおかげで、mcuを生きるロキのその後を見てみたいと思ったんです。きちんとmcuを生きるロキを描いてほしい。
ロキドラマのために大層な宣伝されまくったのはもういいんだけど、今回の最終回冒頭に復讐キャラクターたちのセリフは必要だったのか？時間軸というテーマ上当然これまでのストーリーとは切っては切り離せないだろうけど、それでもあのセリフたちは必要だった？ロキドラマ最終回のお膳立てのために使われた感が拭えなくて、お願いだからこれまでの10年間を盛り上げるためだけの駒のように扱うことだけは（その気があろうがなかろうが）やめてほしい。

これだけ文句言っておいてじゃあシーズン2見ないのかって言われると、そうではないのが申し訳ないです。マルチバースやら時間軸が絡んでるのでシーズン2も見ます。見ないと映画本編にたぶん置いてけぼりくらう。
自分で書いておいてめちゃめちゃ長くなったことに引いてます。思いついたら後からまた書き連ねるかも。
長いこと読んでくださってありがとうございます。

ちなみにこれPCのメモ帳に書いてコピペしたんですが、文字数が9700ちょっとって表示されて自分でも引きました。