Freeze | ナノ


▼ 大空と料理人

 ある日。特にすることがなく、暇なツナは料理を始めたサンジを眺めていた。

(すごいなぁ……。オレは料理できなくて未来で困ったっけ……)

 手際の良いサンジをじっと見ていると、ふとサンジが手を止め、顔を上げた。

「ツナ、どうした?」
「あ、料理できてすごいなって思って。いつもすごくおいしいし。オレ、料理できないからさ」

 できた方が良いんだろうけど、と言うツナにサンジが笑いかけた。

「やってみるか?」




 今日は時間があると言ったサンジにやや躊躇いつつも甘え、料理を始めて30分。基礎から教えるサンジは案外丁寧で、リボーンとは全然違うなぁ、としみじみ思ったりしていた。

「イタッ!」

 お約束と言うべきか、丁寧な指導のおかげで今までは大丈夫だったものの、ツナは指を少し切ってしまった。傷口をさっと洗わせ、どこからともなく取り出した絆創膏を貼るサンジ。

「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」

 手際の良さに感心しつつ、ツナははにかんでお礼を言う。気ィつけろよ、とサンジは返して頭をぐしゃぐしゃと撫でた。



「できた!」

 サンジのものと比べれば見劣りはするものの、おいしそうな、今日釣ったばかりの魚のソテーとポテトサラダは間違いなくツナがサンジの手を借りつつも作ったものだ。

「オレ、皆を呼んでくるね!」

 嬉しそうにツナは駆け出していった。

 料理は好評で、いつも通り、否いつも以上に早く、それこそあっという間になくなってしまった。
 食後、皆が思い思いにくつろぐ中、ツナはサンジを手伝って皿洗い。

「……また」
「ん?」
「暇な時で良いんだ。また料理、教えてほしいんだけど……」
「あぁ、構わねェよ。いつでも来い」

 ニッと笑い、頭を撫でようと手を伸ばしたが泡が付いているのに気付き、所在なげにプラプラと振った。
 皿洗いを再開するが、沈黙。しかしそれは決して気まずいものではない。

(……なんか、サンジってお兄ちゃんみたいだなぁ……ってオレ兄弟いないからよく分かんないけどさ。でも、頼れる兄貴って感じだし、もしいたらこんな風なのかなぁ……)

 それはリボーンとも山本とも違う安心感。(ちなみに了平は「お兄さん」でも除外。あれは規格外だろう。)本人は気付いていないがツナはクルー達にまるで弟の様に可愛がられている。ツナの考えも案外的外れではないのだ。
 ツナは皆の弟だ。

「サンジくーん!」

 遠くでナミの声。甲板にでもいるのだろうか。

「んナ〜ミすゎ〜〜ん、お呼びですか〜〜vV」

 泡を流し、手をさっと拭いき、猛スピードでハートを飛ばしながらキッチンを出ていくサンジ。取り残されたツナ。一瞬手を止めたものの、またか、と皿洗いを再開。

「……やっぱりあんなお兄ちゃんは嫌かも」

 何と無く校医を思い出して苦笑した。

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