零れ話 | ナノ
四周年記念短編集
@ようこそポケットモンスターの世界へ


綺麗に整備された道を外れ、草むらに隠れて外の様子を伺う。
すぐ近くには町があり、度々人が行き交うのが見えた。
がさり、草むらを掻き分けて出てきた動物≠ェ、此方を一瞥して去っていった。
空を集団で飛んでいく鳥≠フ鳴き声も、普通であればこんな町中では聞くようなものではなく。

街の中へと飛んでいく彼等の行先を目で追うと、賑わいを見せる赤い屋根が特徴的な建物に目が惹かれた。
赤と白のツートンカラーのボールを手に、老若男女様々な人が出入りしている。
物凄く見覚えのあるそれらに思わず遠い目をしつつ、やっぱりわくわくしてる自分も居たり。

「わあ、すごーい!!ねえねえ藍、にんげんがたくさんだよ!?」
「わっわっ、大声出したら見つかっちゃうよ浅緋…!」

飛び出していこうとする浅緋くんに、藍は咄嗟に手を伸ばす。
それでもぎりぎり間に合わず、影から現れた翡翠くんが寸での所で抱え上げた。
しーっと口元に人差し指を立てた藍に、浅緋くんは、はあい、と素直に返事をする。
けれど、町の様子が気になってそわそわと落ち着かない様子。
頻りに其方へと視線を送っている浅緋くんに、翡翠くんはその体をしっかり捕まえたままでいた。

その直後、浅緋色の視線の先で唐突に赤い光が走った。
光が当たったポケモンは、そのまま光に包まれて、光を発したボールの中へと消えていく。

「…えっ!?なにあれ!?」

その光景をばっちり目にしていた浅緋くんは、涙目で翡翠くんにしがみついた。
翡翠くんにとっても衝撃的な光景だったようで、浅緋くんがくっついている頭以外を残して影の中に隠れてしまった。
はらはらと二人を見守っていた藍も、現状確認していた他の皆も心なしか顔が青褪めているように見える。

「でも、本当に何なの此処!?ポケモンはポケモンのまま過ごしてるし!!」
「彼等の様子を見る限り、人間とポケモンが共存して生活しているようですが」

藍と紫苑の言葉ももっともだなと思う。
ポケモンが人として生活している世界で生きてきた彼等にとってはそれは不思議な光景だろう。

「人間はとっくの昔に滅んだんだったよな…?」
「ええ、その筈よ。空も彩夢も、別の世界から来た人間だから…って、まさか」

朱華ちゃんがはっとして此方に視線を向ける。
気付けば他の全員からの視線が集まっていて、苦笑いを浮かべながら頷いた。

「うん。空の居た世界かは解らないけど…少なくとも、似た世界。みたいだね」
「ん」

空は何処か懐かしそうに、だけど何処か複雑そうな視線を町の方へ向けていた。
先程ポケモンを吸い込んだ赤白のボールに注がれたそれには、僅かな嫌悪感が含まれているのを感じる。
そういえば、モンスターボール嫌いだって言ってたっけ。

「ぼ、僕達いよいよ世界越えちゃったの!?」
「そんな事が出来るのはアルセウスぐらい…少なくともパルキア程の力が無ければ不可能でしょう」
「ちなみに神理からは特に何も聞いてないよ。その他事前コンタクトも一切無しです!」

神理に何かあったかな…もしくは神理じゃない誰かがやったとか。
思わず視線を空に向ける。空も私と同じ人を思い浮かべたのか、顰めっ面をしていた。

「ともかく、此処でこうしていてもしょうがない。何か行動を起こさないとな」
「そう、だよね!うん!!僕達探検隊だもん、行動してこその探検だよね!!」

自分を奮い立たせるように、元気に拳を天に挙げる藍に、そうだねと笑みを浮かべた。
ああ、どうしよう。眠っても違う世界だから、神理に会えなかったらどうしようもないし。
…うん、何か物凄く先が長くなりそうな予感がする。

何をするにしても、このままじゃ目立つよなあ。
皆のファンタジー要素が溢れ出た格好と町の人達の現代的な服装を見比べて、思わず遠い目をした。

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AS終了後、パレット皆で本家の世界へ。
全ての元凶は言うまでもなく某黒い方の白い神様。

続き→ダイジェストで原作追いつつ異文化交流(?)楽しんで帰るよ!!





A強くてニューゲーム


きらきら輝く青い海。青から赤へ染まる空。
一面に広がる大自然を、視界いっぱいに焼き付けた。
この眩しい景色と同じくらい、私の心は今、わくわくした高揚感でいっぱいだ。

ずっと憧れて、沢山見てきたけれど、全くと言って良い程知らない世界。其処に私は居る。
画面から眺めるだけじゃ解らない、音が、感触が、全身に伝わってくる。

肌を撫でる風、波の音、燃える夕日に、七色の泡。
しばらくそれらに見とれていると、さくりと砂を踏む音が聞こえて。

「――――ねえ、君!」

振り向くと。
すぐ其処に広がる海と同じくらい、深い深い藍色が目の前に広がっていた。

…文字通り、広がっていた。

「うおおうっ!?!?」
「?」
「藍、近すぎ」
「…あっ、ご、ごめんね!!勢い余っちゃってつい…」

わたわたと慌てて藍色、の瞳と髪をした男の子が離れていく。
結構慌てん坊さんなんだろうか、この子。今も割と心臓ばくばく言ってるぞ!!
照れたように、けれどにっこりと見せる明るい笑顔が可愛い子だ。

その子の後ろにも、もう一人、綺麗な金色の髪の男の子が居る。
冷静な感じで声を掛けていたのは彼だろう。じっと見透かされるような空色の瞳で此方を見つめていた。

「あ、それでね!!僕達、探検隊を結成して一日目なんだけど、もう一人メンバーが欲しいねって話してて!!」
「う、うん?」
「此処、僕のお気に入りの場所で、あんまり人は来ないんだけど、偶然今君が此処に居て、だから君を誘おうと思って、」
「え、そんな簡単に!?良いの!?」
「うん、良いんだ!!というより君じゃないと駄目っていうか…此処で会えたのも何かの縁だからさ、だからほら、えーっと…」
「問答無用」
「そういう事!ね、良いよね!!」
「ええええええ」

なんだなんだ、何か凄いゴーイングマイウェイだなこの子!?
奥の子なんかめっちゃ単刀直入にぶっちゃけちゃったよ!?
さっきの藍色の子の慌てっぷりとは反対に、今度はこっちが、主に脳内で慌てふためく。

「そうだ、自己紹介がまだだったよね。僕は藍って言うんだ。よろしくね」
「空。元人間で今はピカチュウ」
「ちょっと待って」
「君は何て言うの?」
「いや待ってその前にさっき何て言った!?何て言ったの!?」
「空。元人間で今はピカチュウ」
「にんげ、待って、ちょ、人間!?」

憧れの世界に来て早速の怒涛の展開に思わず目眩がしそうになる。
確かに、確かに主人公達の探検隊に積極的に関わっていくつもりではあったけども!!
というかそもそもそんな簡単に人間って言っちゃって良いの!?!?あれ!?!?
何だろう、何か都合が良すぎやしないだろうか。

「ん。それで、君の名前は」
「えっ、…あー、えーっと、彩夢です。イーブイ、なんだけど…その…」
「彩夢も元人間とか?」
「な、え、なん、何で!?」
「あはは、解るよ!彩夢って実は凄く解りやすいよね」

出会ったばかりの子に其処まで言われるだと…!?!?
私、そんなに解りやすい、かなあ。確かにちょっと濁しちゃったけど、うん、其処まで!?

「でも、大丈夫だよ」

いや、これは動揺してるからに違いない、と思いたい。

「彩夢が何を抱えてても、何を隠してても、僕達は全部受け止めてあげるから」

にっこり。
太陽に照らされて輝く海のような、綺麗な満面の笑みが、若干怖く感じた。
何だろう。まるで、最初から全部知られてるかのような。

握手を求めて差し伸ばされた手に、直ぐにその思考は霧散した。

「という訳で、よろしくね、彩夢」
「よろしく」
「あ、…うん。よ、よろしく、…えっと、ラン。と、ソラ、だよね」
「…ま、今はまだそれで良いけど」

すぐにちゃんと言えるようになるだろうし。
風に乗って小さく聞こえた声に首を傾げた。
あれ、名前、間違えたかな。短い名前だし、覚えやすいなって思ってたんだけど。

こっちだよ、と手を引かれて砂浜を離れていく。
戸惑いつつもそれに従う私に、ランはとても嬉しそうに笑っていた。

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(空くんと藍くんが)強くてニューゲーム
もしかして:(ヤンデレ度が)強くてニューゲーム

彩夢ちゃんが自分の世界に戻る選択をしたor自己犠牲精神の結果酷い状態になる
→空くんが絶賛アルティメット欝&病みモードに
→某空くん大好きストーカー「そういう時のとっておきを教えてあげようか。【きろくをけす】。これでぜーんぶ元通りさ!!」
→空くんと(空くんが許可したので同じく病んでる)藍くん記憶持ちで【はじめから】の世界

彩夢ちゃんが二人の望む選択をするまで延々とループし続けて何週目かの話。

続き→ダイジェストで原作踏みつつじわじわ調教(意味深)されていくよ!!





B癒してやる!全てを和ませる!愛派!癒和術!


んー、どうしよう。ちょっとやばいかもー?
背後には大きな木。その周囲をモンスターが囲んでいる。
ゆーくんとめるちゃんと一緒に森で迷子になってたら、あの子達に見つかって、逃げていたらこうなった。
手を引いてくれていたゆーくんも、何時の間にかはぐれちゃった。

癒術を使っている間は癒術に集中してるから、癒しながら逃げる事は出来ない。
そもそも、逃げ道が無い。木に登ろうにも、わたしは木登り、苦手だもの。
チョコレート、食べるかなあ。食べたら見逃してくれないかなあ。無理だろうなあー。

ゆーくんのおやつ、間違って食べちゃった事、黙ってたバチが当たったのかも。
かみさまは、ちゃあんと見てるのよ。

でも、だいじょーぶ。帰ったら謝るって、かみさまに誓えば良いの。
わたしはたった今、ごめんなさいを言うって、かみさまに誓いました。
だから頑張れば、一匹くらいならぎりぎり癒せるかもしれない。
あの中にも割と温厚な子とか、きっといるかも。だし。

「モンスターさん!わたしと、ともだちになりましょう!」

にこやかに笑顔を浮かべて、友達を迎え入れるように腕を広げた。
その動きを察知していたモンスターの内の一匹が、目の前まで飛び掛かってきていた。
大きく開けられた口。鋭い牙が目の前に迫る。

わたしはそれを、受け止め――――

「だめ!!」

可愛い声が響くと、触れるか触れないかの位置で牙が止まった。
獣特有の、肉を食らってきた口内の真っ赤な色と臭いがダイレクトに伝わって来る。
そのまま少し待っていると、ゆっくりと牙が離れて、大きな口は閉じていった。
行き場を失った、広げたままの腕がちょっと寂しい。

ちょっびりしんみりしながら声のした方に視線を向ける。
其処には、声と同じくらい可愛らしいピンク色の小さな女の子が居た。



鬱蒼と生い茂る草を掻き分けて、隅から隅まで視線を巡らせる。
自分より少し小さな人影を求めて何度確認しても、やはり見当たる事はない。

「うう…居ない…!!何処を探しても見つからない…!!」
「完全に見失ってしまったのですよ…やはり彼処で手を離したのはまずかったのでは…」
「だけど、あのまま手を繋いでたら、今頃、あのモンスターに俺達の手首食い千切られてたぞ!?」
「それもそうなのですよ!!」

ひいっ、と瓶の中の小さな家族が悲鳴を上げた。俺も想像するだけで背筋が凍る。
あんな状況で、何であの片割れはあんなにおっとりしてられるんだろう。

「みゅ〜、危うくほんわか癒し系ストーリーにスプラッタ描写をお送りするところだったのですよ…!!」
「…待て。俺達は逃げ切れたから良いけど…アイはそうとも限らないぞ…!!」

何処かに隠れてやり過ごしているなら、まだ良い。でも、あいつはそんな事しない。
むしろ、此方に牙を剥いている、少しも癒されていないモンスターに、緩い笑顔で歩み寄るような奴だ。
それで大怪我した事もあるのに、ずっとへらへら笑ってて、全く懲りた試しが無かった。
思考すればする程、みるみると顔が青褪めていくのを感じる。

「い、嫌な予感しかしない…!!早くアイを見つけないと!!トトも手伝ってくれ!!」
「きゅっきゅー!!」
「いいい、急ぐのですよおおお!!」

慌てて視界も足場も悪い森の中を再び走り出す。
何度か転びそうになりながら、先頭を行くトトを追っていった。
ああもう、本当、無事でいてくれよ…!!

この森が、王国や外国どころか、メフテルハーネにすら存在しない事を、俺達はまだ知らない。

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最新の突発ネタより。主人公に双子の夢主が居るバージョンで。
一応TOA想定しつつ。アイちゃんと遭遇したのは大体お察しの通りあの妖獣ちゃん。
書いてて気付いたけど、メルクちゃんの口調、がっつりミュウと被るやんね。

続き→ダイジェストで原作キャラと絡みつつメルストパワーで平和的に原作改変するよ!!

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