にちじょう2「弘輝の福岡県方言講座」
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城条「すまん、こー坊。こっちに来て座っちゃくれないか」
弘輝「Σ え、なん!? オレ怒られることばなんかしたと!?」びくびく
城条「は? ――ああ、いや、そういう意味じゃないんだがなあ(苦笑)。ちょっと教えてほしい事があるんだよ。トー坊やシア嬢(※テュシア)とも話しててな」
弘輝「え、オレそげん悪い事したん……?(滝汗)」椅子に座ったぞ
城条「違う違う。教えてほしいのはだな……福岡弁だよ」
弘輝「……はあっ!?」声ひっくり返ったぞ
城条「そうお前さんは言うだろうと思っていたがな。悪いんだがたまにお前さんの話す言葉は分からん。もう、な。福岡というより、九州と本州に言葉の壁が築かれてるレベルだよ、おっちゃん」
弘輝「あー……そういうことなんか。よっしゃ、よかばい。どこが分からんと?」
城条「そう、その『よか』だ」
弘輝「へっ?」
城条「何気なーく使ってるがなあ……『いいよ』って意味合いなんだろうが、どうにも『もういい』なのか、『大丈夫だよ』なのか区別がつかんでな」頭抱えてるぞ
弘輝「そりゃ両方使えるけん。標準語の『いいよ』と同じ感じばい。そん時の流れで意味が変わってくるっちゃけど。『しなくていい』とか『羨ましい』も含まれるばい」
城条「その使い分けは福岡のノリなんだろうなあ。羨ましいもあるのか。ああ、それと『言いよった』とか、『しゃろうもん』とか……『しゃあしか』と『せからしか』、だな」
弘輝「いつそげなノート作ったん」
城条「ああ、その『そげ』もだな」しれっ
弘輝「……(汗)。『そげ』は『そんな』。『言いよった』は『言っていた』。『言いよる』の過去形やんな。『〜よる』ってついたら『している』って形になると」
城条「おお、なるほどな。じゃあトー坊がピザを食べていたら、『食べよる』って形になるのか」
弘輝「そうなる。オレが皿洗いで電話取れんかったら、『皿洗いしよった』って言いよろう?」
城条「今も言ってるなあ(笑)」
弘輝「……ホントやん。『しゃろうもん』は、オレよう使いようもんなあ……『しゃる』と『もん』は別個(べっこ)っちゃん。『しゃる』は国語で言う尊敬語とかっちゃん。『していらっしゃる』とかと近い意味な。先生とか、目上の人の動作の時につけとうと。『先生、今教室におりんしゃれんばってん、どこ行ったん?』とかな」
城条「……しゃれんが否定形か(汗)」
弘輝「あ、そうやんな。『もん』は『そうじゃないの?』って感じばい。ちょっと語気強かごた聞こえるばってん、『忙しかろうもん』って言われたら、『忙しいんじゃないの?』って意味になると。……今使った『ごた』は『〜のように』って意味ばい」
城条「……おっちゃん、久しぶりに学校で勉強を習ってる気分だよ。同じ日本なのにこんなに言葉が違うものなんだなあ」生暖かい顔
弘輝「ばってん、福岡はそげん言うごた標準語から離れとう言葉は少なかばい」
城条「うん、それは個人の感想だな(汗)」
弘輝「あとは……『しゃあしか』も『せからしか』も意味は『煩い』ばってん、注意する程度やったら『しゃあしい』ば使う。『せからしか』は煩くてたまらん時とか、大概腹かいた時に出るっちゃん。堪忍袋切れた人がよう使いよう」
城条「はあー、なるほどなあ。……『腹かいた』って?」
弘輝「え、こっち言わんと!? 怒っとう時に言わん?」
城条「それ、標準語だと『腹を立てる』だな(苦笑)。腹がかゆい時に掻いた時はなんていうんだ?」
弘輝「『腹かいた』」
城条「……使い分けが分からん時は、今度から直に聞くとするか」がっくり


 よく聞かれる福岡県の方言を並べてみました(^^; 私親戚筋があちこちにいる上に引っ越しが多かったもんですから、喋ってると結構福岡の方言だけじゃない事が多いです。だからたまに福岡弁と限定して聞かれると分からなくなりますね(苦笑)。
 福岡は元々、江戸時代末期、九州北部にあった国(筑豊、筑後、福岡など)が幾つも合併してできていまして。
 北部(北九州弁)、西部(博多、福岡、筑後、筑前他)、東部(田川などが代表の豊日方言)、南部(筑後他)など、今並べた限りでも相当分かれます。何故か博多から遠い朝倉という地域では博多弁が現地よりもよく残ってるそうです(苦笑)。
 同じ福岡県民でも、福岡市在住のはずなのに博多弁が通じない事も(福岡弁は福岡市の西区などが中心、博多弁は博多区近辺が主流だとか)。北九州の人が福岡南部の久留米市や小郡の言葉を聞くと首を傾げるなど、随分方言に違いがあります。県どころか市として方言を「〜弁」と統一できないぐらいややこしいですね(苦笑)。

 なので、弘輝の場合は代表として、私が調べた限りで分かる博多弁と福岡弁をミックスしています。今じゃここまでこてこてにしゃべる博多&福岡の人は、若者じゃ珍しいとか……うそん(祖父母の影響かこてこてだった私)。
 ちょっと四国や中国地方、大阪の言葉が入っているかもしれませんが(友人や親戚の方言をすぐ吸収しちゃうので)、福岡&博多弁講座はこんな感じでした。

 今では博多弁を使う人はご年配の方が中心だそうで、若い人が無意識に使う方言はめっきり減っているそうです。『みそんくそん(否定形も含まれた、滅茶苦茶に)』とか、『ちんころこまい(背などが小さい)』とか、『すーすーすう(肌寒い、風が吹いて温度が下がるなどの意)』とかも中々言わないもんな(苦笑)。ちょっとでも自分の地元の言葉を知って、楽しく会話に使って行きたいですね(^^
 ほかにも分からない言葉があればぜひ教えて頂きたいです(汗)。無意識に使ってると本当気づかない事多いので。
 ……え、『ばってん』も『しとんしゃあ』も今そんなに使っとらんと?(滝汗/ネット見て気づいた)


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