シェル=シール―無彩のレリオス―
世界設定

[ 18/22 ]

設定草案



このページは小説完結後に書かれたものです。ぶっちゃけネタバレ大放出です。
一度本編にお目を通していただいた後で読んでいただいたほうが安全です。
全然大丈夫という方はどうぞお進みください。一応著作権はあるので、
あからさまに内容をパクって小説を作成したりという事は
ないと思うんですけどしないようお願いいたします(滝汗)。


シェル=シールについて

 《隕石(ユパク)》の落下により魔法が生まれ、様々な種族が生まれた世界『シェル=シール』。《隕石》の欠片である《天恵の魔石(ヘブレス)》を巡る戦いが一度収束し、国際協定などで安定を計った時代の、《隕石》を国内に有するジェイド国の物語。
 天恵魔術(ユパク・へブル)、アンドロイド。獣人族、幻獣、魔法生物。
 衝突の冬の後様々な色を育むこの世界の情景を、各コラムとして順に説明していきたいと思う。

精霊の存在

 生命が寿命を迎え、体から離れた霊魂を、この作品では精霊と呼んでいる。《ユパク》と名付けられた隕石が落ちてくる前も後も、一般大衆からは架空の存在と思われていた(前の時期では魔法が存在しなかったため特に)。けれど一部の人間、また第六勘に優れた生物の中には、その存在を実際に認知できていたという。
 精霊はあくまで、次の生命として転生するまでのサイクルの流れの一つ。精霊である期間はおよそ千年と言われており、その間世界の霊的な部分として各地に流れ、時に磁場や土地の空間を歪ませ、神隠しなどを起こしているともされている。
 時間が流れていくうちに、精霊が持つ生前の記憶が薄れていき、やがて全てを忘れた頃、転生を迎えると言われている。生前の意識、早い話心があるうちは、存在を認知してくれる者と対話する事が可能と言う話もある。転生後には生前の刻印、思考といったものは受け継がれず、全くの赤の他人となってしまう(存在のリセット)。

《隕石(ユパク)》

 六百年近く前に地上に落下した隕石の名称。衝突の冬が訪れ、現在のジェイド国(本作品舞台)周辺を含めた土地を焦土と化した。《隕石》には、当時その世界になかった魔力が含まれており、《隕石》飛来の時も研究に没頭していた数人の魔術師(実際はもっといたとされる)がきっかけで発見された。これにより空よりもたらされた魔術、天恵魔術(ユパク・へブル)が興る。科学技術に頼った人々は発現した魔術を見、術者を賢者、救世主と崇め、自らが生きるために魔術の知恵を欲し、『守護の術』を考案。冬を乗り越える事に成功。さらに予想していた期間より格段に早く、衝突の冬を天恵魔術により終わらせたという。
 また、隕石が落ちて数百年経った頃、動物達に変化が起き始める。ある動物は巨大化し、ある動物は突然変異して生態をがらりと変えた。代表はキラー・ワスプなどの巨大じか蜂や、マルールと呼ばれる雑食で凶暴な狂牛などが挙げられる。
 さらには人間に近い姿をとり、祖先と同じ動物に変身する事が可能となった、猫より誕生した獣人族ヴィオスや、半人半馬のケンタウルスなどが生まれている。動物同士が融合したような幻獣も数多く誕生した。
 現在はジェイド国領に《隕石》、その周りに湖が。クレーター内部に本作品舞台の都市スタがあり、《天恵の魔石》の採掘を近く鉱山から行っている。
  

《天恵の魔石(ヘブレス)》と魔力

 《隕石(ユパク)》の欠片とされる、やや暗めの紫色の結晶が《天恵の魔石(ヘブレス)》。アメジストのような色合いとはやや違い、中に小さな蒼の輝きを持っている事が多い。高純度の《天恵の魔石》になるほど、蒼から黄、白と色を変える。大きさにもやや法則性があり、基本的に同じ色合いの《魔石》でも、大きいほうが魔力を持つ量が多い。
 また、《魔石》は魔力そのものが高密度の固体となり結晶化したもので、『シェル=シール』の有機物と結合して魔力そのものを増やしていく特性がある。世界に満ち、増えていく魔法の力といえば聞こえはいいが、実際は魔力に耐性のない生命に寄生し増殖していくウイルスのようなもの。普通に大気中から摂取する分にはそれほど問題とならないため、《隕石》が地上に落下した当時は《隕石》から離れた地域ほどすぐに耐性がついたという。
 けれども、体内に《魔石》を飲み込んだり埋め込んだりして取り入れた途端、体は《魔石》の依代(よりしろ)となって徐々に体も《魔石》へと変えられていく。《魔石》が成長するためにはその体の大きさに見合うだけの《魔石》を種として取り込む必要があるため、大人であれば大体拳大より二周り近く小さいものがいる。
 《魔石》は依代となった者の記憶や感情も取り込み、やがて生体機能が麻痺して肉体の時が止まり、生命として死んだ後も《魔石》に肉体を変え続けていく。その際取り込まれた記憶や感情は《魔石》の中に残り、どれだけ小さく砕かれてもその意思が消える事はないと言われている。しかしそれを立証する魔術はまだ確立されておらず、犠牲者を増やさないよう国際法で《魔石》の栽培≠ェ硬く禁じられている。
 魔力が世界に満ち溢れた事で天恵魔術(ユパク・へブル)が確立。元々生命が個々に持つ刻印と呼ばれるものをパスワードに、天恵魔術は日夜新しい術を確立してきたといわれている。
 また魔力や《魔石》の到来により、完全に機械で造られたアンドロイドの生産が容易となった。動力源を電気に頼ることなく、自ら大気中の魔力を取り入れる性質のある《魔石》を動力源として組み込む事で、故障でもない限り半永久稼動が可能なロボットを生み出す事に成功した。
 

天恵魔術(ユパク・へブル)と刻印

 《隕石》の落下により地上にもたらされた《天恵の魔石》。その魔力と詠唱、そして刻印が、天恵魔術完成の必要不可欠な材料とされる。
 個人は一生を終えるまで、刻印と呼ばれる森羅万象の力の断片≠体内に宿している。これは全ての生命が持っていて、シェル=シールの住民である事を示しており「認証コード」のようなものに近い。各個体それぞれ形が異なり、種族によってある程度系統が決まっているとされている。広範囲に分布する種族の中には、その種族の中でも大幅に異なる刻印を持つ者もおり、種族を断定するための遺伝子とはまた違うものらしい。
 この刻印はシェル=シールの創世から存在しているとされ、今まで極一握りの者にのみ発現していた力の断片が、《隕石》の魔力に触れて誰でも使えるようになった。術の発動に魔力が、形を与えるために刻印が、詠唱で術の規模の安定を図り、天恵魔術が完成される。
 天恵魔術は主に、回復、攻撃、補助の三分野に分けられている。人に向き不向きの運動や学問があるように、天恵魔術の系統の得意不得意にはある程度偏りがあり、種族単位で見られている。回復の天恵魔術が得意な獣人族ヴィオスは、自らの特権だと鼓舞しているほどだ。けれど人間は回復が使えないのかと言うとそうでもなく、扱う事が苦手な者が多いだけと言われている。また魔術の修練に時間がかかる者も少なくない。
 また、刻印は天恵魔術として確立すれば、他者に教える事で自らの刻印を用いた魔術を使わせる事もできる。現在使用されている天恵魔術のほとんどが過去に確立された天恵魔術で、最近はアンドロイドにも刻印が宿る事が判明し、天恵魔術の技術研究が進んでいる。
 刻印の形は二十歳で成人するまでの間不透明で揺れ続け、きちんとした形を持っているわけではない。二十歳の誕生日を迎えると同時、本人の刻印が完成され、場合によっては魔術として力を発現させる事が可能。けれど多くの魔術師達の研究も虚しく、発現するまでの時間は人によって大きく異なり、天恵魔術を発現させられないまま一生を終える者も少なくない。
  

獣人族と人々、幻獣

 獣人族を代表するのが、人間の姿を取り猫にも変身することが可能なヴィオス族。彼らは気まぐれで自己主義的な面を見せるが、その賢さは類を見ない。多くの天恵魔術の中でも難関とされている、結界や傷の治癒、解毒などの術を考案し、またヴィオス族だけの密偵団『猫の目(キャッツアイ)』を設立。世界各地の情報を集積するなど、自らの特長を活かした活動も行っている。唯一の弱点とされるのが《天恵の魔石(ヘブレス)》で、ヴィオス族は《魔石》の側にいると人間と猫に自由に変身する事ができなくなり、天恵魔術も使えなくなるというハンデを背負っている。
 《隕石》落下により生み出されたのはヴィオス族だけではなく、雑食の狂牛マルール、グリフォンなどの幻獣、また人の言葉を話せる獣人族らなど、その様子は《隕石》落下前とは様変わりしている。
 また、人間は機械アンドロイドを考案。人型の機械の活躍により、多くの都市の建設に役立てられ、介護、教育、また戦争で人間に大いに味方したりと、様々な用途に用いられてきた。
 そのアンドロイドの精神や動力源の核に用いられる《天恵の魔石》を巡って、人間は各種族や他の領地と抗争を繰り広げてきた。また《魔石》の寄生を知り、人体に用いるなど国際法の発端となる出来事を繰り返し、戦争終結の後に行われた取り決めを破った種族への厳罰が敷かれる事となる。
  

ジェイド国

 隕石孔(クレーター)の中に作られた工業国家。《隕石》落下以前の国の名前がそのまま用いられており、元は偏狭の寒村だった。隠れて魔術を研究するオカルト団体が数多く身を潜めていたと言われており、当時もそういった風評が数多く語られる辺鄙な地域だったと言われている。
 《隕石》落下後、初の魔術師を頂に急成長・発展したジェイド国は、衝突の冬を乗り切るために用いられた数多くの天恵魔術やアンドロイドらに頼る生活が続く。アンドロイドの開発、研究が盛んで、国内の各地域が天恵魔術を利用した工業都市、魔工都市へと成長していく。領地ごとに当時賢人と崇められた魔術師らの子孫が統治したり、その時代ごとの領で最高魔術師の座に着いた者を領主としたり、領ごとの統治は様々となっている。
 ジェイド国の王は世襲制だが、現在王の権力はほぼないに等しいと言われている。直接統治している首都領以外はほぼ独立領のように動いており、監視の目が行き届いていないのが現状。

・スタの『義勇団(ブレイバル)』


 事実上領主に対抗するための抵抗勢力組織(レジスタンス)。普段は与えられた仕事をこなしているが、構成メンバーの中には密偵、戦闘要員の役割も担う者も多数いる。自治隊の役目も持っているため、領民の指示を大きく受けており、天恵魔術シェイントの結法則(エディア・エリア)≠考案した魔術師の子孫、インブン・シェイント、人間を嫌煙するはずのヴィオス族出身者なども加入している、やや異例的な組織。領主への対抗意識ではなく、あくまで領民の平穏を願う事を発端としている。因みに公言されてはいないが、最初に組織を提案したのはインブン・シェイントとアブル・オ・モノンだといわれている。
  

最果ての要塞(ロスト・フォーティフィード)

 《隕石》落下による被害が一番少なかったと言われている都市国家。独自の技術により幻品(ロスフォート)と呼ばれる品を作り、技術を口伝で守り続けているという。要塞と呼ばれる由縁となるほど、昔は戦争を行わせてはいけないと言われるくらいに強い軍事力、権力を備えていた。
 現在幻品は限定されたルート以外の流出はないと言われている。厳重に守られ、継がれる技術には《天恵の魔石》を一切使わない、世界に古来からある力が用いられているとされている。


[*prev] [next#]
目次に戻る
back to top
Copyright (c) 2020 *そらふで書店。* all right reserved.

  
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -