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※2年夏大前あたり
今日は日曜日だけど、いつも通り一日中練習の日だ。選手はもちろんだけど、マネージャーも一日駆け回る。そんな忙しい中で、ようやくマネも一息つける時間となった。
グラウンドから少し離れベンチに座って、ひとり飲み物を飲みながらボーッとしていた。
今朝天気予報で見た通り、空は快晴。ポカポカしていてなんだか眠くなってきた。グラウンドの方を見れば、いつも通り栄純と降谷くんがタイヤを転がしている。元気だなあ。
いい感じに眠気が襲ってきたそのとき、ベンチの真ん中に座っていたわたしの両隣に、誰かが座ってきた。
「なまえちゃーん何してんの?」
「ヒャハ!あいつマジで元気だな」
もう言わなくても分かるだろう。いつもの二人だ。教室でも部活でも一緒だから最近この二人といないと「喧嘩してるの?」って聞いてくる友達もいるから厄介だ。
『…眠い』
「俺の肩枕代わりにしてもいいよ」
「テメェふざけんな」
何で喧嘩してるのか、眠気と戦っているわたしにはどうでもよくて、わたしを挟んで喧嘩するのはやめてほしい。
『ん〜…なんか用事でもあった?』
「いや?なまえがなんか一人で寂しそうにしてたから」
『眠気と戦ってる…』
しばらくの間三人で栄純達を見ながらくだらない話をしていた。なんだかんだでこの二人といると気が楽になる。安心するっていうのかなあ。ああ、なんかまた眠くなってきた。
「あー!!倉持先輩!御幸先輩!なまえ先輩に何してんすか!!」
「あーあーうるせぇのにバレた」
「うっせえ沢村!!何もしてねえわ!!」
栄純と隣の騒がしさに、一気に目が覚めた。
「なまえちゃん目覚めた?」
『ん、とりあえず』
そろそろ時間なのか、二人が立ち上がる。それにつられるようにわたしも立ち上がり、両隣の背中に少しだけ触れる。
『さー午後もがんばろ!』
「おー」
「ヒャハハハ!」
今はまだ、この距離が心地いい。