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ニヤニヤ。
そんな顔で俺に近づいてきた梅本。
「…なんだよ」
今日はマネ発案で二年生だけで花火を見にきた。正直めんどくせぇとは思ったけど、たしかにこの代は個性的というかなんというか(まあ、俺がキャプテンってのもある)、まとまりがない。
これから秋大も始まるしいい機会になればいいかなと思って来てみたのだ。
「べつに〜?」
「…なんか言いてェならはっきり言ってくれ」
「さっき帰ってくるときなまえ誰といたと思う?」
なまえ。俺がその名前にめっぽう弱いことは、もうだいぶ前からバレているらしい。
「…知らね。お前らじゃねえの?」
「それが途中で逸れちゃってさ〜」
嫌な予感しかしなかった。
「倉持と一緒でさ〜楽しそうにしてんの!」
「…へぇ」
「…あれ、それだけ?」
「まあ…」
ちらっとなまえの方を見ると、倉持はもう側にいなくて夏川と楽しそうに話している。
「ムカつくけどな」
「…御幸…アンタさぁ…」
相当だね。
俺の顔を見て、梅本はそう言った。
仕方ねェだろ、譲れないんだから。