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8月7日、甲子園は開幕した。

日本全国が甲子園での試合に注目する中わたしたちは、新チームでの練習試合が始まっていた。

埼玉堺高校に対して、先発は降谷くん、そして8回からは栄純がしっかりと抑え、白星スタートをあげた。

「もっと引きずるかと思ったけど…」
『栄純は強いからね〜』
「ほんと…」

正直栄純はあの決勝戦をもう少し引きずるかと思っていたが、そんなことはなかったようだ。しっかり切り替えて、前に進もうとしている。

他のみんなも、少しずつ新しい目標に向かって歩き出している中、わたしが一番心配しているのはノリだった。

先ほどのダブルヘッダー第2試合、ノリは四死球7、被安打5を浴び、5回を持たなかった。

御幸も結構気にかけてはいるみたいだし、わたしがゴチャゴチャ言っても悪化しそうだ。ここは新キャプテンに任せよう。

そして甲子園では、稲実が初戦突破を皮切りに、決勝までコマを進めていた。しかし力及ばず、北海道巨摩大藤巻高校が優勝し 甲子園は幕を閉じた。



「…オイなまえ、」
『んー?』
「甲子園終わったんだよな?…ギャラリーやたら多くねぇか?」
『…ほんとだ…』

甲子園が終われば、野球への注目は冷めギャラリーも少なくなるかと思ったのに。倉持の言った通り、グラウンドの周りにはいつも以上に人だかりができていた。

「がんばれよお前ら!」
「稲実倒して来年はウチが全国制覇だ!」
「あの成宮から4点とったのは全国でも青道高校だけだからな!今年も頼むぜ強力青道打線!!」

「『…』」

『御幸…言われてるよ』
「…まぁ、盛り上がるのはいいんじゃねぇの?」
「それにしてもよ、どーせなら日本一獲ってくれればよかったのによ。そしたら成宮も燃え尽きてフヌケになってたかもしれねーのによ」
「ばーか!そんなタマかよあいつが」
『たしかに成宮くん逆に燃えそうなタイプだよね…』

「ま…これでまたさらにでかくなるんじゃねーのか!」
「てめぇなんでうれしそうなんだよ!」

成宮くんが大きくなれば大きくなるほど、私たちもそれよりも大きくならなければならない。
目標は、大きい方がいい。…そう思ってるんだろうな、御幸は。

『まあまあそのくらいにしといて、1年生がもう走ってますよ、センパイ』

グラウンドにはすでに栄純と降谷くんの姿が。もう汗が滴り落ちているあたり、だいぶ前から走ってたんだろう。

『…さー!今日も1日練習がんばろ!』

「…なんだよイキナリ」
「ヒャハ暑さで頭やられてんじゃねーの?」

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