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「とどろきらいち〜〜アイツには絶対負けねぇ!!!!」
「青道自慢の投手陣をナメやがって〜〜俺たちが勝ぁ〜つ!!勝つ勝ぁ〜つ!!」

…朝から元気だ。
そう大声で叫びながらタイヤ引きをしているのは栄純だ。その隣で静かに走っているのは降谷くんだけど、オーラが隠しきれてない。

「あ…あいつらメチャクチャ気合入ってんじゃん。そんなに昨日の試合が刺激になったんスかね。同じ1年だし」

倉持の言う通り、センバツベスト8の市大を破った薬師の昨日の試合は、みんなに何かしらの影響を与えたみたいだ。

「…今日は軽めに流せって言ったのに…」
『御幸。…今は何を言っても無駄な気がする』
「だよなあ…。マジで言うこと聞きやしねぇ」

ふたりの並々ならぬ闘争心は、さすがの御幸でも手に負えなくなってきているみたいだ。

「あの、先輩たち。…実は昨日…」

恐る恐る口を開いた小湊くんの言葉に、平穏な空気は急変することとなった。

「……っ…」
「な…なななな…ふざけんなぁ!!!!あの親子そんなナメたこと言ってやがったのかぁぁ!!!!」

『じゅ、純さん…』
「青道なんざまったく眼中にねぇだと!!」
「いえ…直接そんなことは……」
「そうゆうことだろ!!!ウチのピカ一郎忘れてんじゃねぇか!!」

ピカ一郎…。丹羽さんのことかな。まぁ、たしかにピカッとしたなにかがあるけど…。

「で?もちろんブン殴ってきたよね」
「兄貴!?」

物騒なことを言い出した小湊先輩。この兄弟ほんとに見た目は似てるのに中身どうなってるんだ。

「上等じゃねぇか薬師〜〜」
『…倉持、顔』

顔がもうヤンキーを隠せていない。おまけに手までポキポキ鳴らしてるからさらにだ。

ゴキュルルルゴグルルルル

「ハラの音で怒るな!!」

増子さんは相変わらずお腹で感情表現してるし。

「市大であれ薬師であれ俺たちの前に立ち塞がれば倒すべき敵だ。答えはグラウンドの上で出してやればいい」

…キャプテン。その通りだ。誰であろうと、どんなことを言っていようと、倒すべき敵に間違いはない。…けど、

「哲…お前…尋常じゃない何かが出まくってるぞ…」

オーラが…隠しきれてません…。ほんとに、この野球部は闘争心の塊みたいな人たちばっかりだ。

「って降谷、日カゲに隠れるな!!」

相変わらず降谷くんは東京の夏に慣れてないみたいだけど。

「もうなまえ、降谷のことみといて。アイツ知らない間に日カゲいくから」
『はいはーい』
「返事は一回」
『ハイ!…ってなに、小学生?』
「ハッハッハッ。なまえ童顔だしな」
『さすがに小学生にはみられません!!!』

まったく、御幸は変わらず失礼なやつだ。

「哲、伊佐敷、増子。試合までの3日間、シートバッティング形式で俺と勝負してくれないか?」

「実戦感覚を今すぐ取り戻したいんだ」

そう言った丹羽さんは、もうすでに、戦う準備ができている顔だった。そこからは、呼ばれた3人だけでなく、御幸や倉持、他の3年生もグラウンドに入り、より実戦に近い形でのシートバッティングが始まった。

…うわ、スリーラン…。キャプテン、ほんと容赦ないな。 さて、わたしも、今日の練習の準備をはじめようか。

(みんなで、戦うこと)
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