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いよいよ甲子園予選に青道が姿をみせる。初戦の相手は、米門西高校。
当然丹波さんは間に合わず、先発は1年生の降谷くん、そして4回からは栄純が投げた。失点もなく、打線もうまくつながり、5回コールド勝ちを決めた。
学校に戻ってきてからは、投手陣は今日の反省、他の人も自主練に励んでいる。今日試合だったってのに、ほんと、この人たちは頑張ることしか目にない。
そして翌日。
「なまえ〜、野球部初戦突破したんだってね!おめでと!」
『ありがと〜』
登校すると、クラスのみんなに初戦突破のお祝いの言葉をもらった。わたし、マネージャーなんだけどな。
「あのね、ほんとは御幸くんと倉持に言いたいんだけどさ、あの2人さっきからなんか喧嘩してるんだよね」
「てかいつも2人一緒にいるとこしか見たことないね」
「友達いないのかな…」
…御幸倉持…!あんたら友達いないことばれてるよ…!
「ま、わたしらからは言いづらいから、なまえから言ってもらっていい?」
『うん。て、ほんとに喧嘩してるわ』
ふと窓際をみると、倉持が御幸の胸ぐらをつかんでいる。なんでいつも喧嘩するくせに一緒にいるんだろ。
『御幸、倉持。なにしてんの?』
「あ?…なまえ」
『朝っぱらから胸ぐらつかんで、仲良いですね』
「ンなわけあるか!」
『何揉めてんの?どうせ御幸が余計なこと言ったんでしょ〜』
「え、俺?」
「そーだよ。こいつの物言いいちいち腹立つんだよ」
「はっはっは。素直って言ってくれ」
「『それは違う』」
「…そういうときばっかり仲良いのやめね?」
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「あーあ、御幸くんと話す機会だったのになー」
「いつもスコア見てるか倉持と喧嘩してるかだしね」
「なまえうらやまし〜〜」
「御幸くんなまえ以外の女子と話さないもんね」
「たしかに!他のマネの幸子ちゃんとか唯ちゃんとかとしゃべってるところあんまり見たことないかも」
『御幸はもう少し言葉をオブラートに包んで言った方がいいよ。倉持じゃなくてもむかつくよ』
「おいそれどういう意味だ?」
『え?倉持が短気って話だよ』
「短気じゃねぇ!」
「短気だろ」
「テメェに言われたくねぇ!」