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いよいよ夏直前合宿も最終日。今日は青道・稲城実業・修北の総当たりによるダブルヘッダーが行われる。

第1試合はうちと稲城実業。相手チームは主力メンバーを温存しながらの試合。そしてうちも、投手であるノリがどのくらい投げられるのかを監督は試している。ノリの顔にも疲労が見え始める。ラスト2イニングというところで、捕手の宮内先輩がノリに近づいていく。…なにするんだろ?

「ちょっ…どこ触ってんスか!?宮内センパイ!!」

…あー。忘れてた。宮内先輩って投手の緊張ほぐすときにいつもそこ触ってたわ。

「宮内先輩ってなんであそこ触るんだろうね」
『ね。男子のノリってわけわかんない』

と一緒にみていた唯とそんな話をする。
そして試合終了。次は修北と稲城の試合だ。急いでベンチ片付けないと!

「あ〜〜やっぱ俺も試合出て〜〜降谷や春っちは出てるのに〜〜」
『栄純分かったからはやくそれ運んで』
「なまえさん!だって…!!」

「ねぇそこの元気そうな君」

ふと声をかけられ、栄純が振り向く。とりあえずわたしはこれを運んでしまわなければ。

「そう 君!!」
「今日降谷ってやつ投げる?」

あれ、このユニフォーム…と思い顔をあげる。

「1年なのにとんでもない球投げるんだろ?だんだけ速いか一度見ときたくてさ」

そこには、稲城実業2年生エース、関東No.1サウスポーと呼ばれている、成宮鳴、そして捕手の原田さんがいた。

『ええええ栄純!はやく行くよ!』

栄純に話させると余計なことを言ってしまいそうなので、はやく切り上げさせたい。

「ん?そっちはマネージャー?」
「そうっス!」
「いいねー青道。マネージャーいっぱいで。で、今日は降谷投げないの?」
「今日はあいつ投げないっスよ」

と栄純が言うと、ひどく残念そうにしていた。やっぱり降谷くんの球は、成宮ほどの人でも興味がわくものらしい。すごいなーと改めて思っていたら、気づかなかった。栄純の不服そうな顔に。

「お二人は知らないんですか?青道にはもう一人スゴイ投手が入ってきたことを」

…!!栄純なにしゃべってんの!?

『栄純、ちょっとストッ「5回を投げてなんと11失点!!」

あ、だめだこれ。わたしには止められない。つーか人の話聞いてないし。

「そしてそんな時満を時して登場きたのがーーこのお「ドスッ!!!」

いきなり栄純が黙ったのと、なにやら鈍い音が。こんなことするやつはたぶんあいつしかいない。

「ベラベラとこっちの情報しゃべってんじゃねーぞ!!このバカ!!!」

やっぱ倉持だったわ。顔面こわすぎだよ。

「なまえも一緒にいるなら止めろ!!このバカ!」
『ちょっとなんでわたしまで?止めようとしたけど人の話聞かないんだもん!』
「んなの一発殴ればいいだろ」
『あんたみたいに暴力的じゃないのでできませーん』

「…ちょっと一也。なんなの、すごい喧嘩してるけど」
「…いつものことだよ」
「てかさっきの話ホントなんだ?」
「ま…そうだな。降谷の調子は決してよくねぇよ」
「…一也、なんかお前に言われると一気に嘘くさくなるんだけど」

「『それはわかる』」

「……え、なに?一気に仲良くなったけど」
「…………フクザツ」

「言われてやんの御幸一也!!!」

「じゃあ後でな!マネさんも!せっかくかわいいんだからあんまり喧嘩しちゃだめだよ〜」
『……かっ!?』

かわいいなんて面と向かって言われたの初めてぐらいの勢いなんですけど!?どうしよ、お世辞だろうけどにやにやしてしまう。

『…いひゃい!』

ほっぺに刺激が加わり、何事かと思ったら倉持と御幸がわたしのほっぺを片方ずつ伸ばしていた。

『はにすんの!やめへよ!』
「はっはっは。何言ってるかわかんねーな」
「あんま調子のんじゃねーぞー?ヒャハハッ!!」

わたしのほっぺ、今日だけで確実に伸びました。
御幸倉持許すべからず!!!
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