いざ黒曜ランドへ
黒曜の街外れ
今や廃墟となった黒曜ヘルシーランド
寂れた大きな門の前に一人の青年
手にはコンビニ袋と[並盛高等学校]と書かれた封筒
『腹、くくるしかねぇか…。』
一見学校帰りにお見舞いに行くスタイルだと言うのに、そう呟いた声は、まるで戦場にでも行くかのように重々しかった
――――――
△△が平穏に過ごせるようになって三日が経った
つまり骸が学校に来なくなって三日だ
学校の方には連絡が来ているらしいが、不良による騒動以外で骸が休むというのは、今までになかったことだった
六道骸という人物は、中身がいくら残念だろうと、隣街の不良集団の頂点にいようと、見掛けはすこぶる良い。とても目立つ人物なのだ
そんな骸が休んでいるというのは瞬く間に学校中に知れ渡った
クラスの奴、他クラス、他学年。色々な奴が口々に骸について噂をし、心配していた
そして、よくその六道骸に追いかけられている○○△△もまた然り
元々容姿で目立っているのにプラスして、何故か“六道骸と仲の良い奴”として目立っていた
「なー○○、六道大丈夫なのか?」
『俺が知るわけないだろ。担任にでも聞け』
三日間で通算20回以上
こうして骸の安否を聞かれるのも、途中で数えるのすら嫌になるくらいだった
平穏に過ごせているはずなのに、同じことを何度も聞かれれば苛立ちも募り、気分も低迷する
そこに追い討ちをかけたのが、担任からの頼まれ事
「○○、丁度良いところに。」
『なんですか。』
「これ、お見舞いがてら六道に届けてくれないか?」
重要なお知らせが多くてなぁ。
なんて言いながら笑っている担任に思わず舌打ちしたくなる
『(自分で行けばいいものを…)』
△△の苛立ちが頂点に達しそうになったのに気づいたのか、不穏な雰囲気を感じ取ったのか、担任は会議があるからと押し付け、足早に去っていった
『それもこれも六道のせいだ…』
はぁ…と、深い溜め息が溢れたのは仕方のないことだ
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