光闇繋者
夕刻の挨拶
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夕刻の挨拶
「あー疲れた!! ずいぶん長く語ってたね〜、清継くん」
「だね。日が長い季節でよかった」
「にしてもさ、清継の妖怪知識にはまいったよ」
「だね、本当勉強になるよ」
「え?」
「うん、知れば知るほど怖くなってくる。でもそれが妖怪なんだもの! それが当たり前、逆にそれが魅力…」
放課後、リッくん、氷麗、青、カナ、後ろに黒と首無と毛倡妓と河童がいる。いや、そんなことよりカナがあれ以来おかしい気がするんだよな。
「……近い……」
だけどわからない。どこにいる?
「!!」
木刀を逆手に持ち、自分より前に居たリッくんの前に立った。
「彼誰……?」
「リクオ君だよね?」
目の前に、少し背の高い男がいつの間にか立っていた。
「君が形無しの……」
わたしの目が、睨むように細くなる。
「何か……用?」
低い声で、睨みながら問う。
「聞く必要はなかったか」
「……」
「こんなに似てるのだから。ボクと君は」
彼はリクオの右肩に手を置いた。
「若く才能にあふれ、血を継いでいる。だけど…君は最初から全てをつかんでいる。ボクは今から全てをつかむ。ボクもこの町でシノギをするから」
「お前……」
「まぁ見てて…ボクの方がたくさん畏れ≠集めるから」
「ま…待って…」
反応が遅く、気づけば後ろに男が居た。
「両手に花か〜!? それに守ってくれる下僕。やっぱ大物は違うぜよ」
そう言うと、男はカナの左側の頬を舐めた。わたしはすぐさまカナと男の間に木刀を振り上げる。カナはとっさにリクオの後ろへと隠れた。
「大胆だね、君の下僕は。恐れがない」
「そんなものあったら逃げてるよ」
笑いながら去る彼らを見なが言った。
「わ…若……」
「なんで…何よ…アレ…。今まで…あんなのいなかったのに……」
怯えながら見開くカナ。彼女らの目の前には笠を被っている彼らがいた。
「着いたね…七人同行。いや……八十八鬼夜行の幹部たち。やれるよ…ボクらはこの地を奪う。昇ってゆくのは………ボクらだよ」
この先からがとても、波瀾だと思った。
それはどうしてかわからない。
だけど、それはとても……嫌な感覚だ