光闇繋者
護衛強化
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式と式神。親から受け継いだもの。忘れられた川の神様や消えかけた祠の神様、それに、調伏した妖怪。わたしの手持ち。
風を司る神様が教えてくれた。総大将が、四国に行っていると。
護衛強化
「一番線に電車が参ります。白線の内側までお下がり下さい」
「あら」
電車待ちの時間、グラサンをかけ、新聞を広げる怪しいひとがいた。風が吹くと首が動いていく。別の方を見ると水かきのあるひと。
「わっ」
混んでいるからか一気に電車に入れられた。
「何かのお祭とかぶったのですかぁ?」
「毛倡妓までいるんだ」
「なんで!? なんで!? 一体どーしてこんな護衛が増えてるの!?」
「おい、くるぅぅあ首無、河童。護衛はオレたちの役目だろ〜が!! あ〜ん?」
ガラ悪いぜ、暴走族のヘッド。
「三人じゃ足りないってカラスがさ」
「そう…なんといってもリクオ様は若頭を襲名された大事なお体ですからね。しばらく7人体勢でいくってさ!!」
「えぇ!?」
「オレたちじゃ力不足ってのかよ!!?」
彼誰は目を細めるだけだった。
「そーいうこと。ほら、青は暴走族…雪女は料理番と兼任で忙しい身だろ? 彼誰は病院を辞めたとはいえ、この前の件でまた一部の連中から信用が薄れた。そこらへんの配慮じゃないから」
何か騒がしくなりそうだから他人のフリしよう。電車が揺れたあと、別の方も騒がしくなったのも気のせいだ気のせい。
放課後、彼誰は背筋に悪寒を感じた。何か、予兆かのように。
「……」
「どうしたのだ、形無くん!」
「あ、いや……何か嫌な感じがしてただけ……」
「妖怪か!?」
「何でそっちにいく!? てかもう消えたから!」
この気配……初めて感じるな。
「……」
気づいても気づかなくても同じことだ。違わないのだったら。