光闇繋者
結論は誰が為に1
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結論は誰が為に
「それがお前の祖父であり、私の…親分…だ…。私もかつては人≠セった。生きたい≠ニ…願う人間…。だが…人間には…悪鬼に耐える力がない――」
リクオから、血飛沫が溢れる。
「それでもなお、人であり続けるなら、私は自らをかけ――葬るのみ。魔道に落ちろ、リクオ。私のように人間を捨てろ。総大将になるのならば、私を越えてゆけ、リクオ」
「牛鬼……」
牛鬼から、血飛沫があがった。
「…それで、良いのだ…」
牛鬼は後ろへと倒れる。
「間に合わなかった……」
わたしは三羽鴉が来たのを横目に見ながら牛鬼へと駆け寄った。
「リクオ、きけ。捩目山は奴良組の最西端……ここから先、奴良組の地[シマ]は一つもない」
「喋るな」
「この地にいるからこそよくわかるぞ、リクオ…。内からも…外からも…いずれこの組は壊れる」
「喋るなってば」
「早急に立て直ねば……ならない」
「牛鬼!」
「だから私は動いたのだ。私の愛した奴良組を…つぶす奴が…許せんのだ。たとえリクオ、お前でもな…」
わたしの顔色は悪いと思う。思い出したくないものを思い出しそうで嫌だ。
「兄貴…」
「逆臣・牛鬼! リクオ様に…この本家に直接刃を向けやがった…!!」
「違う! 牛鬼は!!」
「やめろ、彼誰。……当然だとは思わんか」
〔嫌だよ。ぼくは妖怪じゃない〕
「奴良組の未来を託せぬうつけが、継ごうというのだ。しかしお前には…器も意志もあった」
〔オレは昔から変わらねぇ。三代目を継ぐ〕
「私が思い描いた通りだった。もはやこれ以上、考える必要はなくなった」
牛鬼が起き上がった。
「リクオ様、危のうござる!!」
立ち上がった牛鬼は日本刀を逆手に持っていた。
「これが私の……結論だ!!」
柄の端を持ち、力を入れた。
「牛鬼貴様ぁああーー!!」
わたしはただ、ただ見ているだけだった。