光闇繋者
冷静と激怒の狭間1
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冷静と激怒の狭間
「…ダメだ。通じないわ…」
「そりゃ山ん中だからね」
「どうしよう…」
「なるようにしかならない」
「何でそんな冷静なのよ」
「そら、慣れてるし」
昔いろいろあったのさよ、小生にも。
戯けて言うと、それ以上何も言われなかった。
「とりあえず、リクオ様は今、何もしらない昼のお姿…何かあったら私たちが若を守るのよ」
「そうだな。でもつらら、油断はするなよ。組員だからって……信用するな」
「え?」
今んとこ、達磨以外信用できないんだよなぁ。幹部ってやつは。
「いーやだぁー」
「帰ろーよぉこんな山ー!!」
「みてよぉ。こーんなでかい爪ー、死ぬって〜」
「ホントに食われちゃうよ〜、妖怪に」
「そーだよ。鳥居さんと巻さんの言う通り、今すぐみんな帰った本がいいよ」
「それには同感。多少の怪我なら処置出来るけど、大きい怪我でもしたら病院行きだし。それに、事が始まってからじゃ遅い」
「よーし奴良!! 彼誰!! あんたらついてきな!!」
わたしとリッくんは鳥居と巻に掴まれた。
「待ちたまえ!! 暗くなった山をおりる方が危険だぞ!! それにおりてもバスはもうない」
「ええー」
「ふふ!! 何をビビっているんだ、君たち!? ボクの別荘があるじゃーしないか!! この山の妖怪研究の最前線!! セキュリティも当然バツグンだ!!」
「セキュリティ? 妖怪に?」
「きくの?」
「使用人が時々来てるが何か出たなんて話1回もないぞ!? 君たちは心配しすぎだ」
「お前は危機感なさすぎなんだよ。自分ではわからないの?」
「怖いのか? 形無さん」
「んなわけないだろう」
きっと、外面も怒っているのだろう。
「……わかった。ここに留まるんだな?」
「ああ」
なら、守りきるしかないし、花開院の力を信じるしかないか。
「彼誰」
「何?」
「わかった」
「口調、変わってるよ」
「……用心するに越したことはない、か」
「どういうこと?」
「気をつけるってこと」
今宵は新月、あらしの夜。