光闇繋者
一番街の罠1
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一番街の罠


 顔が変わった旧鼠を見てカナは脅える。わたしは睨んでいるだけだ。


「か…顔が…化物ッ………」


 長い夜の始まりだった。
 路地裏に逃げるも、追い詰められ、逃げる術がなくなった。


「なに…? これ…? 彼誰ちゃん、ゆらちゃん……」

「妖怪変化…や。昼間…説明した通りよ。こいつらは…獣の妖怪」

「……え…?」

「おとなしくしてりゃあ…痛い目見なくてすむぜ」


 旧鼠達は気味悪く笑う。


「ねずみふぜいが粋がるんちゃうわ」
「ねずみふぜいが粋がんじゃねえよ」

「何?」

「下がりな、カナ」


 カナの腕を引き、後ろにやった。


「やれ、お前ら」


 彼の下僕[しもべ]は一斉に来る。


「禹歩[ウホ]、天蓬[テンホウ]、天内[テンナイ]!! 天衝[テンショウ]、天輔天任[テンホニン]。乾坤元享利貞[ケンゴンコウリテイ]、出番や!! 私の式神!!」


 式神か……さすが陰陽師というとこか。


「貪狼[たんろう]」


 貪狼は宙に飛んだ。
 戦線となった場所に血生臭い臭いが漂う。


「旧鼠さん、この女一体…」


「旧鼠か…。仔猫を喰う大ねずみの妖怪…。人にバケてこんな路上に出るなんて…」

「こいつぁ、三代目はそうとうな好き者だな…」


 旧鼠がゆらに近付く。


「そんなぶっそうなモノはしまいなよ」


 旧鼠がゆらに触れようとすると、ゆらは身を引いて手を弾いた。


「………あ?」


 旧鼠は黙ってハンカチで手を拭いた。


「あぁ…」

「やべぇな…こいつ終わったわ」


 ヒソヒソと旧鼠組の連中が話し出した。そして、旧鼠は指を鳴らした。


「いやっ…ネズミが!?」

「カナ!」

「ネズミはいくらでも増やせる。おとなしく…式神をしまえ」


 ゆらが奴らに後ろを取られ、ネズミがカナの服の中に入る。


「もちろん、違う式神もだ。形無。お前も変なマネすんじゃねぇ」


 式神を戻したのを見て旧鼠はゆらを殴った。……人質2人、はさすがにキツいな……。
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