あの日、オレは彼女との秘密が出来た
どうして出来たのかは自分でもわからない
偶然
必然
まったく違う二つの単語
オレは必然だと思いたい
だってオレは
彼女が好きだったから
繋がりが欲しかった
「今日の放送はこれで終わります」
昼の放送。一人しかいない部員=私=日課。誰も放送部に入りたがらないからなー。
「さて、と。次移動だっけ」
放送室を出てすぐ、赤ん坊が居た。
黒いスーツに黒の帽子、赤ん坊はその上にカメレオンを乗せていた。
「どうしました?」
「今の音楽はお前が選曲したのか?」
「はい。…………入ります?」
「ああ」
赤ん坊を放送室に入れて椅子に座らせた。
「何も無いけどゆっくりしてください。寒いなら懐炉要ります?」
「構うな。ちょっと寄っただけだ。それより、授業が始まるぞ」
「んー……私って出席率低いんですよね」
「何でだ?」
「持病持ちであまり授業に出てないんです。いわゆる保健室登校で……単位はちゃんと課題提出で貰ってますけどね」
「あまりってことは出席するんだろ? 今日はどうするんだ?」
「出ますよ?」
「リボーン! どこだー?」
「お、ツナだぞ」
「ツナ?」
赤ん坊は扉の前に行く。私は付近に居たから開けた。
「ツナ、授業が始まるぞ」
「お前がどっか行くからだろ! どこに行ってたんだよ」
「ここだぞ」
「放送室? って崎村」
「え? あ、はい。一応放送部員です」
「ごめん、リボーンが邪魔しちゃって」
「そんなことないですよ」
「あ、オレは沢田 綱吉。2−Aだよ」
「じゃあ、同じクラスなんですね」
茶色の髪は、彼の優しい雰囲気によくあっていた。
「崎村ってあまり授業に出てないよね?」
「ま、まあ」
よく知っているな。
「じゃ、またね」
「はい」
私と彼の初めての会話だった。