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 こんな状況になってもまだ牙を剥くことを躊躇っている優しい野獣を急かしたくて、俺は、恐る恐る伸ばした右手で鬼原課長のソレをそっと握った。

「っ!」

 表情の読みにくい男前の顔が、一瞬苦しげに眉を寄せて息を詰めたのが分かる。
 硬く勃起した極太のペニスが僅かに震えて、すべすべした薄い皮膚越しに伝わる熱と鼓動が、課長の理性の限界を教えてくれた。

「――おい。無理を、するな」
「無理なんてしてません」
「他人のモノに触って気持ち悪くないのか」
「気持ち悪くないです。俺、課長のチンコだったら、多分……舐めても平気ですよ」

 舐めても平気、という言葉に何かを想像してしまったのか、俺の手の中で元気な暴れん棒が大きく脈打ち、先端からじんわりと先走りの汁を溢れさせる。

「や、ただ、ええと……こんなデカいのが本当に俺の中に入るのかなっていうのは正直不安なんですけど」

 こんなモノを尻に突っ込んだりして、本当に無事で済まされるんだろうか。
 太さ、大きさを確かめるようにしげしげと観察しつつ、手の中のソレを何度か扱き上げると、逞しく割れた腹筋がピクピクと細かく痙攣し、俺の肩に顔を埋めるようにうなだれた鬼原課長が深くため息をついた。

「まったく……警戒心のないハムスターだ」
「はむすたー?」

 普段から低い課長のハスキーな声が、更にワントーン下がって、鼓膜を甘く刺激する。

「後悔するなよ、田中。逃げる口実は十分与えたからな」

 多分それが、鬼原課長が精一杯の理性を振り絞って口にした、最後の警告だった。
 
 それまでとは違う獣じみた荒い吐息交じりの声で一言落としてすぐに、課長は俺の手から奪ったシャワーノズルをフックにかけ、ピッタリと下半身が密着するように腰を抱き寄せると、硬く勃起したお互いのモノを片手でまとめて扱き始めた。

「あ……っ」
「いい声だ」
「あ、ぁ、ちょっと、待っ」
「この状況で待てるか」
「かちょ、いきなり……激し、ぁあッ」

 強引に射精を促すような手の動きに戸惑いながらも、他人の手に触られ慣れない俺のソレは、早くも限界まで張り詰めてその身を細かく震わせている。

 平均サイズよりやや小ぶりかもしれない俺の控えめなペニスは、グロテスクなまでに猛々しく勃起した鬼原課長の見事なモノと比べるととても同じ器官とは思えない程で、それでも、熱い手の中でお互いの昂ぶりが擦れ合うたびに、鬼原課長のモノも俺のモノもビクビクと震えて、恥ずかしい蜜に互いを濡らし合っていた。

 至近距離で耳にかかる吐息も、ヤバい。
 鬼原課長も同じように感じているんだと思うと、それだけで脳が溶けそうに熱くなる。

「や、ダメ……、イ……っちゃ、います」
「もう、か?」
「……だって、課長が、……いじわる、するから……!」

 まだそこまで弄られてもいないのに我ながら早過ぎるような気はするけど、男の身体は正直だ。
 腰を押し当てられるたびに腹の間でモノがぐにぐにとお互いを刺激し合って、強すぎる快感に、もう俺はすっかり腰砕け状態で、自分の力では立てなくなっていた。

「っ、んん、や、出る……っ」

 鬼原課長の意地悪な手は、巧みに二人分のモノを追い上げながら、指先でクリクリと俺の敏感な先端部分を刺激してくる。

「――は、ぁ……あ、ん、もっと……!」

 我慢できなくなって、もうイキそうだというときに指は離れて、何とも言えないギリギリの焦らしプレイにじんわりと涙が込み上げてきた。

「可愛いな、田中」
「いじわるするの、やめてくださいよ……!」
「ずっと、お前をこうやって泣かせてやりたいと思っていた」



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