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 バスルームからほわっと溢れ出した湯気の向こうに、鬼原課長の大きな背中。

「――田中!?」

 鏡越しに俺の姿を確認して勢いよく振り向いた課長は、手にしていたシャワーノズルを床に落としたまま、完全に硬直して動かなくなってしまった。

「な、何て格好だ……何を考えているんだ、お前は!」
「あの、一人で待っているのもアレですし、俺も一緒にシャワー浴びた方が一度で済んでいいかなって、思って」
「……っ!」
「あ、よかったら俺、背中流します」

 慌てて課長が落としたシャワーノズルを拾い上げ、立ち膝の状態で、勢いよく吹き出すお湯を課長の身体にかけようと顔を上げて。
 俺もその場で固まって、動けなくなった。

「おお……」

 すぐ目の前には、鬼原課長の股間。
 当然のようにそこには、濃い茂みと、男の象徴たる器官が堂々と構えている。

 こういう状況でここまで間近に他人のブツを見るのは、言うまでもなく生まれて初めてのことだった。

 太くどす黒い幹に血管を走らせたソレは、真っ赤に充血した先端を生々しく光らせて、腹につく勢いで逞しく反り返っている。
 
「あの……ええと」

 すごい。
 褌の膨らみから多分大きいだろうなとは予想していたけど、これは想像を遥かに超える超立派なイチモツだ。
 というか、まだ何もしていないはずなのにシャワーを浴びているだけで既にこんな状態になっているのも、ある意味すごい。

 さっきアニキがチンコを大きくするゴムだなんてふざけた物を用意していたけど、そんな物を使うまでもなく十分にデカい鬼原課長のブツをケツに入れるなんて本当に可能なんだろうかと、俺の中で今までとは別の不安が生まれ始めていた。

「で、デカいっすね」

 思わず吸い込まれるように股間のブツの見事な勃起っぷりをじっくり観察してしまった後で、この状況をどうしていいのか分からなくなり、救いを求めるように上司の顔を見上げてとりあえずの感想を述べると、目の前で反り返っていた極太の肉塊が更に体積を増して、砲身の角度を上げた。

「お前……今の状況を理解しているのか」

 いつもより上擦った鬼原課長の声に、荒い吐息が混じっている。

 バスルームに飛び込んだのは勢いだったけど、今の俺はちゃんと、自分の行動の意味も状況も理解できていた。

「俺だって男ですから、ちゃんと分かってますよ」

 分かっているから、飛び込んだのだ。
 もし少しでも課長が不安を感じているなら、俺は帰るつもりなんてないと伝えて安心させたくて。

 熱を孕んだ視線が自分の身体に注がれているのを感じて、雄として完全に負けている股間を片手で隠しながら小さく答えると、それを合図にしたかのように伸びてきた腕が俺の身体を抱え上げ、背中を鏡に押し付けてきて、俺は抵抗する間もなく荒々しいキスの波にのまれていた。

「っ、ふ、ぁ……っ」

 口内に捻じ込まれた舌が強引に快感の芽を探り、身体の芯を熱く溶かしていく。
 リビングで抱きしめられた時と違って今は肌と肌が直接触れ合い、熱く昂ぶった鬼原課長のモノが直に当たって、生々しいその感触に、鼓動は未だかつてないほど速まった。

 じりじりと熱を帯びて勃ち上がりつつある俺のモノに、鬼原課長の手が伸びる。

「本当にいいんだな、田中」
「訊かないで、くださいよ……もう。こんな状態で……後に引けないって、分かってるくせに……っ」

 ここまできたらもう、不安や躊躇いはない。
 早くその手で触れて欲しいだけだ。
 


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