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「もうイッたのか?」

 甘い声で意地悪な言葉を囁いて、佐竹は熱くなった手で雪矢の乳首をキュッと押しつぶす。

「……って、ません!」
「聞こえねえな」
「んッ! や、……胸、ばっかり……!」

 赤く色づいた突起を執拗に捏ね回されて、雪矢は大きな瞳を潤ませて佐竹の顔を睨み付けた。

 かろうじて射精こそしていないものの、溢れる先走りで下着は濡れ、いつ達してもおかしくないギリギリの快感が続いて身体が溶けてしまいそうだ。

「いやらしい身体だな。いつもより感じやすくなってるのが自分でも分かるだろう?」
「あ、あ……、もう、ダメ。ちくび、いじらないで」
「乳首だけでもイキそうじゃねえか」
「っ、佐竹さんの意地悪……、エロおやじっ」
「言いやがって」

 舌なめずりをした佐竹が、真っ赤に熟した果実に吸い付いて、敏感になった小さな突起を舐め回し、軽く歯を立てる。

「やぁあ、んッ!」

 深い森の奥で獣に捕えられ、身体を貪られる獲物にでもなったような錯覚に陥ってしまいそうだ。

 胸に顔を埋めて執拗に乳首だけを苛めるもどかしい愛撫に焦れて、雪矢は下半身に手を伸ばし、自ら硬く張りつめたペニスを取り出した。

「何だ、我慢できなくなったのか」
「ん……っ、だって、さたけさんが、触ってくれない」

 下着の中からぷるんっと勢いよく顔を出した雪矢のモノは、真っ赤に充血し、先端から溢れ出る汁に幹を濡らして淫猥な雄の匂いを纏っている。
 少し乳首を弄られただけだというのに、車内に充満する雄臭を濃くしてしまう淫らな自分が恥ずかしくて、雪矢の身体は更に熱くなった。

「――可愛いな、雪矢」

 耳元に甘いバリトンが落とされ、熱い指先が、雪矢自身の先端部分を軽く撫でる。

「林の間から、さっき走ってきた国道が見えるだろう」
「……んん?」

 確かに、車を停めている位置の上方には、さっきまで通っていた道がある。

 細い坂を下って来たので通りからは少し離れているような気がしていたが、実際には僅かな高低差があるだけで、注意して見上げると立ち並ぶ木々と茂みの間からは、国道を走る車の影が見えた。

 快楽に溶かされた頭に優しい声が心地よく、意味が分からないまま佐竹に身体を委ねる雪矢の耳に、野獣が囁く。

「こっちから車が見えるってことは、向こうからもお前の可愛い姿が丸見えってことだ」
「!」

 まさか。
 考えてもいなかった言葉に、雪矢の顔は一気に熱くなった。

「何を考えた? ココからいやらしい蜜が噴き出してきたぞ」
「ま、待って、さたけさん、やっぱり……んっ、やぁあッ!」
「今更待てるか。それに……お前も、感じているだろうが」
「あっ、んん!」

 逃げようとする雪矢の身体を引き寄せて、それまで触れようとしてくれなかった雄の器官を握りこんだ佐竹が、真っ赤に充血して震える雪矢のモノを自分のソレと重ね、扱き始める。

「あ、ぁ、あッ、それ、だめ……っ」

 押し寄せる羞恥と強い快感に、雪矢はどうしていいか分からず、細い腰を震わせて嬌声を上げた。

「ダメ、み……見えちゃ……っ、やぁあッ」
「見られるかもしれねえのに、こんなに濡らしているんだな」
「あぁ、あッ! や、さたけさんの……熱、い」

 逞しく反り返った佐竹の熱塊が、手の中で握り合わされて、雪矢のモノを刺激する。
 汁にまみれた雄茎同士がぬちゅぬちゅと卑猥な水音をたてて擦れるたびに、甘い痺れに思考を溶かされ、革張りのシートが汚れるのも構わず、雪矢は恥ずかしい蜜を零し続けた。

「すげえな。お前ので手が汁まみれだ」
「っ、強くこすっちゃ、やだ……」
「自分で擦りつけてるんだろうが。俺まで瞬殺する気か、エロ坊主」

 普通の車と比べるとかなり余裕があるとはいえ、ベッドの上よりは格段に狭いシートの上ではなかなか自由がきかず、もどかしい。

 運転席で向かい合わせになって佐竹に跨り、真っ赤に張り詰めた雄の象徴を濡らして腰を揺らす自分の淫らな姿を誰かに見られてしまうかもしれないという羞恥で、与えられる刺激は更に強くなった。



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