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 俺の手よりも、使い慣れた自分の手で好きなトコロを擦った方が絶対に気持ちイイだろうに。

「お前の手でイキたい」
「や、ちょっと」
「ちょっとだけでいいから」

 ちょっとだけも何も、散々好き勝手していたじゃねぇかよアンタ!
 大体、そこまでしてしまったらもう取り返しのつかない事になるのでは……という常識的な考えは、この先輩には通用しないらしい。

「手、貸せ」

 身体をグッと前に倒して耳元に囁かれた低い声が、背筋を擽りながら滑り落ちていく。
 思わず力が抜けてしまった隙に、握られていた手を、いきり立つその部分へと強引に導かれてしまった。

「うっわ……」

 生ジュニア……!
 飛島さんの生ジュニアが、俺の手に!

 当然の事ながら、スラックスの上から揉むのと直に触れるのとでは全く違う。
 ナマで触れた飛島さんのソレは熱く、力強く脈打っていて。自分のモノを触る時とは異なる感触に手がピクリと震えて微かな戸惑いを示した。

「……マジっすか!」

 本気で、俺の手でイくつもりですか。

 問いかけには答えず、飛島さんはさっきと同じように手を上下に動かし始めた。

「ッ……は、っ」
「うえぇ!」

 血管を浮かび上がらせた薄い皮膚が、擦り上げる度に熱を増していくのがリアルに伝わってくる。
 どうやら飛島さんは、本当に俺の手に感じているらしかった。

 どれだけタチの悪い酔っ払いだと言いたいが、もうここまできて抵抗するのも今更な気がして逆らえない。
 元々俺は、酔っ払った飛島さんにはとことん弱かった。

「あーもう……」

 同じ男同士、飛島さんにとっては恥ずかしがるような事ではないみたいだし。
 すき焼きも酒も奢ってもらったし。
 何より酒の席の出来事だ。きっと明日にはお互い何も覚えていない事になっている、はず。

「……手ぇかかり過ぎっすよ、先輩」
「今更だろ」

 諦めて抵抗の力を緩め、イクなら早くイッてしまえというつもりで竿を擦り上げると、さっきよりもソコが熱くなったような気がした。

「酒癖も悪いし」
「お前以外の奴の前でこんな事しねぇよ」
「イヤ、俺の前でもしちゃ駄目ですって」

 この先輩相手に無駄だと分かっている説教をしながら、モノを握らされた手を動かすのは止めない。

 しばらく緩い刺激を続けているうちに先端部分の小さな割れ目からぷっくりと透明の蜜が溢れ出してきて、鼻を掠める雄臭に、俺まで下半身がムズムズと落ち着かなくなってきた。

「……ッ、く、あ!」

 飛島さんの声が、ヤバい。
 耐え切れずに吐息と共に漏れる獣の声を聞いているだけで、何だか変な気持ちになってくる。

 濃過ぎるオスの色気に呑まれてしまいそうになるというか。これはもしかして、かなり危険な状態なんじゃないだろうか。

「新堂」
「は、はいっ?」

 掠れたハスキーボイスで名前を呼ばれて、股間のソレに釘付けになっていた目をぎこちない動きで飛島さんの顔に向けると、細いツリ目が更に細くなった。

 額にうっすらと汗を浮かべて、チンコをギンギンにおっ勃てていて。
 そんな状態なのに、熱に潤んだ深い茶色の瞳は意外なほど穏やかで、吸い込まれてしまいそうだ……などとぼんやり考えているうちに。
 近付いてきた顔が視界いっぱいに被さり、唇にチュッと乾いた感触を残して離れていった。



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