チン体測定。2
仰向けになって俺を見上げた井上は、ポリポリと額の辺りを指で掻きながら、申し訳なさそうに言った。
「もうそれ…測った後のやつなんだけど」
「ぬぉッ!」
反射的に手が開いて、定規は床に落ちていった。
マジか!井上のチンコを測った定規を素手で触ったのか俺は。
「お前マジ有り得ねぇ!最悪!」
「怒んなよー」
「これで怒らねぇ奴がいたらバカだろ!」
怒りにまかせて殴ったりするのもアレなので、身体に跨がったままTシャツが伸びるくらい引っ張り、ガクガクと頭を前後にを揺さぶってやる。
「松崎さん…く、苦しいんデスガ…」
「死んで詫びろ!俺の定規に!」
「ぐっ…ギブ、ギブ…!」
そんな事をしているうちに俺は、ケツの下に何やら妙なモノが当たっている違和感に気がついた。
「…んー?」
…あまり気付きたくないかもしれない、その感触は…。
「…井上、まさか…勃起してねぇよな?」
恐る恐る同室者の顔を見下ろすと、
「あ、ワリ。なんか勃っちまったみてーだわ」
「ぎゃーっ!」
悪びれもせずに笑ってもぞっと腰を動かされ、ケツに当たるリアルな感触に思わず飛びのいてベッドの端にずり下がる。
「ああアホかお前!何で今このシチュエーションでチンコ勃ててんだよ!」
「や、だって松崎が積極的に俺を押し倒してくるからさー」
「わざとやらしい言い方すんなっ!」
「せっかくだから勃起サイズも測ろっかな」
「黙れ変態!」
もう駄目だ。これ以上コイツと話していたら、俺はきっと発狂してしまう。
「…もう、その定規はやるから…」
「えっ別にいらねー」
「俺だっていらねぇよ!新しいの買うかお前のを寄越せ!」
未だかつてない脱力感に襲われてフラフラと自分の机に戻る。
信じられねぇ奴だ。
いくらそっちの趣味があるからって、ダチに勃つか普通。
「松崎、ごめんなー」
「……」
無言で一瞬振り返って見てみると、井上はベッドの上寝そべったまま、顔だけをこっちに向けていた。
決してヒトに何かを謝る態度ではない。
「俺最近一気に背が伸びてきたから、ぜってーチンコもデカくなっただろって思ってさー」
「……」
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