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肌の上を滑る骨張った指は、剣を握る者特有のそれだ。

「……あ……っ」

近付いてきた唇に胸の突起を柔らかく擽られ、たったそれだけの刺激でこれから与えられる快感への期待に身体が小さく震えてしまう。

「何だ、期待しているのか。何しろ久々だからな。今夜はたっぷり可愛がってやろう」
「いらねぇよ、馬鹿! 仮にも俺は聖職者なんだぞ!」

本気で抵抗する気があるのかないのか、自分でもよく分からない。
何度も軽く啄まれ、指先でクニクニとこね回される度に胸の突起はどんどん敏感になり、そこから男の器官へとじんわり熱が伝わっていった。

「……んんっ、ふ、……ッ」

布越しに密着した下半身から、俺のモノが徐々に芯を持ちつつあるのが分かるのだろう。ピピンは顔を上げて、悔しいほど色気の滲む顔で笑った。

「お前の神は人を愛する行為を禁じるのか」

恥ずかしげもなく飛び出してきた身勝手な言葉と共に、捲くりあげた布の下に侵入してきた手が、形を変えて硬く勃ち上がっていたモノに触れ、躊躇う事なくソレを握り込む。

「ぅ、あっ、や……めろっ! 俺は別にお前を愛しちゃいねぇよ!」

この男の手に触れられただけでぐんと体積を増して反り返ったモノを握られたままでは、きっとどんな言葉も信じてもらえないに違いない。
早くも先端を湿らせつつある牡の器官を丁寧に扱きながら、ピピンは身体中にそっと唇を滑らせて、敏感な部分を舌先で弄び続けた。

「私はお前を愛している」
「妻子持ちが。何を言うか」

その言葉が零れ落ちた瞬間。
ヒトの身体を好き勝手に弄り倒していたその手が、ピタッと動きを止めてしまった。

月明かりに照らされた年若い男の顔が、それまでの自信に満ち溢れた王の顔とは全く違って見える。
その後に返ってくる言葉は、聞かなくてももう分かっていた。

「子を為して国を守るのは王の務めだ。あの国は私一人のものではなく、そこに暮らす全ての民のものだからな」
「……っ」

この男は、狡い。
正当な理由をかざして一国の王の顔を保ち、その一方で俺を抱く。

「じゃあ、こんな事……止めろよ」

再び愛撫を開始されて途切れとぎれに掠れた声で精一杯の意地を張ったが、ピピンが手を止める事はなく、クチュクチュと力強く上下に扱かれた股間のモノは限界まで膨脹して時折小さく震えていた。

「あぁッ……あ、はぁッ」
「心まで王の位に縛られる事はあるまい」
「我が儘な奴め……!」
「そろそろ説教ではなく、可愛い声を聞かせてくれ」
「っ、やあぁ、ぁ……ッ!」

すっかり尖ってしまった乳首をキュッと抓られ、それと同時に牡の器官の最も敏感な先端の括れ部分をクリクリ刺激される。
あまりの快感に、腰がビクンと跳ね上がった。

「だ……めだ、……ンッ、あぁ、……!」
「我慢する事はない。こんな時くらい素直になれ」

囁く声が、身体を解放の瞬間へと導いていく。
溢れ出た蜜液が竿を扱く熱い手に絡まって、何とも卑猥な音をたてていた。

「ん……っ、で、る、……ッ……出るっ」
「いい顔だ、ステファヌス」

駆け上がってくる猛烈な射精感。
もう、熱を放出する事以外に何も考えられない。

「……ッ!……ひぁっ、や、あぁぁ……ッ!」

日頃牡としての機能を果たす機会のないソレが、大きく膨れ上がって白濁液を撒き散らす。
全てを忘れ、俺はピピンの手の中で達していた。




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