いつのまにか飼われていた




私が最初には携帯を見たのは8時前

今の時刻9時過ぎ

ずっと布団の中でスマホをいじってる私

目が覚めた時隣にあるはずの温もりはもう無くて

その代わりにリビングでコーヒーを入れる匂いがした。





目が覚めた時はシャワーの音が聞こえたから

もう朝風呂も終えてコーヒータイムなのだろう。





彼のこの家に来て早8ヶ月。

毎日彼といるから彼のことが少しずつ分かってきた。

一緒に住んで、一緒にご飯を食べて

一緒に買い物に行き、一緒に寝る私たち。






彼は私を拾ってくれた命の恩人

当時付き合っていた彼氏に振られて

部屋を借りれるお金もなく、仕事だけは

立て込んでいた時期。



大荷物で何日も同じ場所を行ったり来たり。







「帰る場所ないんですか?」







って私の事を1週間見続けたらしい彼に言われた言葉。

そこから今の今までこの生活。

最初彼は名前も教えてくれなくて

だからわたしも名乗らなかった。

そんな私たち。









「なあ、」



『なに?』



「名前教えてよ」



『…あなたの名前知らないもん』



「俺、お前のこと拾ってあげたんだけど」



『…拾ってって言ってないし』



「目が言ってたんだよ」



『…っ、 碧唯』



「ふーん。あ、俺照な」



『ひかる』



「いきなり呼び捨てかよ(笑)ま、これからもよろしく」



『仕事落ち着いたら出てくよ』



「無理だね、出てけねーよ、お前は」







そうだ。この時にはもう、私は彼なしじゃ生きれなく

させられていたんだな。






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