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グラウンドに響くバットの音





透き通る明るい声





いつも元気な後ろ姿





小さい体の4番打者





1つ年上の田島悠一郎くん





私はずっと
貴方の背中を追いかけてた…
 
私、稲浦ちうは中学2年生の女の子。



私にはお兄ちゃんがいます
お兄ちゃんは、荒川シー・ブリームスって野球クラブに所属していて

私はそのクラブのお手伝いとして、いつも練習に顔をだしています☆


なぜかというと…




「こんちわ〜っす!!!」

「あっ!! 田島くん、こんにちわ」


そう、この元気な男の子
田島悠一郎くんに
会えるから…


田島くんは、私のお兄ちゃんと同い年で中学3年生
もうすぐ高校生になります


「おぅ、ちう。
今日も暑いのに、お疲れな〜☆
ほい、これ被ってろ♪」


そう言って、私の頭に
自分の帽子を被らせると
ポンポンと2回、頭を撫で
グラウンドへ走って行った


「ぅおっしゃ〜☆野球野球〜!」



「…えへへ///」


私は田島悠一郎くんが大好き…


でも、もぅあと少ししか一緒にいられない…



今は、3月…
田島くんは高校も決まり
今年の春でこの荒川シーブリームスの引退が決まっているのだ


そして今日は引退試合…
田島くんと荒川シー・ブリームスで一緒にいられる最後の日


「…しっかり、この目に焼き付けておかなきゃ」



私はそっと心の中で呟いた…

練習が終わり、ベンチへみんなが戻ってきた


私は飲み物や、タオルなどを片付ける為に
奥の方にある、控え室の中にいた



(…最後なんだ)


一人でいると、不意に込み上げてくるる涙…

どうせ高校生になったら、離ればなれなんだから…

そんなに悲しむ必要ないのに、自然と涙が溢れてきた


「…ちう?」


聞き覚えのある
私の大好きな声…


私は振り返ることも、返事をすることも出来なかった


「…なんだ? どうして泣いてンだ!?」


わたしは、フルフルと首を横にふり「…大丈…夫」と、返事をした



心配させる訳にはいかない…
そう思ったのか、泣いたままの顔で
田島くんにニカッと笑ってみせた


「…ちう」


何かに気付いたのか
田島くんはそっと私を抱き締めていた



ベンチから見た田島くんの背中は小さかった…
でも今、目の前にいる田島くんはスッゴい大きく感じる


(…やっぱり男の子なんだ)


そんなことを思っていると

試合の時に見せるあの真剣な表情で、田島くんは私の顔を覗きこんだ



「…この試合。ちうのために勝ってくるから」


そう言われて、キョトンとしていると



「…見とけよ!! ゲンミツになっ☆」


と、オデコにデコピンして
グラウンドへ走り去っていった



ハッと我にかえると
今までの行動が嬉しくって、恥ずかしくって
顔が火照るのが分かった

引退試合はすごかった


田島くん、全部2ベースヒットで
守備でもフェンスに登って捕っちゃうし←


最後の最後まで、田島くんの野球だったな






最後の帰り道…
私は田島くんと2人で
帰っていた


なんか…ちょこっと恥ずかしい///

田島くんもなのか、なんかいつもの田島くんらしくなく、そっぽを向いている



「…あの…田島…くん?」


私が声をかけると
少しピクッとしながら


「おぅ…、なんだちう。」


と、いつもの笑顔で返してくれる。



「…試合の前に言った言葉。嬉しかったよ…、ホントに今まで…ありがとうね」


私は笑わないと涙を隠すすべを知らなかったから
名一杯の笑顔をしてみせた


その瞬間―…


「ひゃっ…//」「…ちう。俺、待ってるからな」



またあの大きな体に包まれた。
…なぜか涙声の田島くん。


「…お、俺。西浦で…もっともっと強くなって…ちうを、待ってるからな。…だからちうも西浦、来いよな?」


「…うん」







私は、ずっと追いかけてた


貴方の眩しい後ろ姿を…




そしてまた…
貴方の背中を追いかけて…

――――……1年後



「なにソワソワしてんだよ、田島。」


「…今日はさ、アイツがくるんだ」


「は?? アイツ?」


不思議そうに首を傾げる泉をよそに
フェンスが開く音がした



「あっ…えっと、1年の稲浦ちうです。
マ、マネジ、希望です!!!」


「えへへ☆ ちう〜」




そう…貴方の背中を追いかけて
私はここまで来ました☆





★☆あとがき☆★



ちう様…
甘酸っぱいでしょ〜かι
うむぅ…不安だな(>д<)



えっと、田島くんの中学時代からのおはなし
なんか思いついたまま書いたよ


こんなんでよければ
ちう様…どうぞぉ♪♪


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