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講堂の舞台を見つめる
ひとりずつ証書を授与される
改めて卒業するんだと実感した

高校三年間、あっという間だった
なあと今まであったことを思い出す

入学式、初めて喋ったのが田島と泉で
それから野球部繋がりで三橋と浜田とも
仲良くなったんだよね

何だかんだクラスも三年間
一緒だったりして本当に
この四人とはずっと一緒だった
楽しい思い出がたくさんある
どれもみんな大切な思い出
思い返せば返すほど、涙が
溢れてくる隣にいる泉が
気がついて無言でハンカチを
差し出してきた


「・・・ありがとう」


小さくお礼を言うと
ハンカチを受け取り
溢れ出てくる涙を拭う


「泣き虫、だな」


泉もまた小さく言った
視界が潤んでいて泉が
見えなかったけれど
きっといつものように
ニイと笑っていたに違いない


証書授与で田島が呼ばれた
席に戻って来る時に目が合い
笑えよと口ぱくで伝え
私の真後ろの席に座った


それから浜田と三橋が
証書授与で二人とも
ガチガチで少し頬が緩んだ


「終わっちゃったね」
「だなー」
「卒業してもゲンミツに
みんなで集まろうな」
「う、ん!」


私と泉は卒業式が終わった
実感が湧かなくてしんみり
していた
田島はいつものように無邪気
に笑って三橋と肩を組んで
また会おうと言ってる
浜田は背を向けて男泣き


「はーまーだー」
「なんだよおお、」
「ばっか、汚ねえ浜田!」


泉が汚ねえとか言って
笑って浜田をからかってる
田島の肩組みから解放された
三橋は私のところに来て
もじもじし始めた


「あ、の!言いわなくていいのっ?」
「ん、何を?」
「た、たじまくんに・・・」


三橋の言ってることが
分からなかったけど田島っ
て言われた瞬間気づいた


「言わないよ」
「な、んで?!」
「好きだよでも言わないの」


決めたことだからと言うと
三橋はそっか!と眉を垂らして笑った


「みんなで写真撮ろうぜー!」


向こうで田島の声が響く

ばたばたと田島の周りに
みんなが集まると田島が
カメラを取り出して空に
上げた


「もっと密着しろよー」
「泉ってば前出すぎっ」
「三橋はひっこみすぎ」
「浜田は背でかすぎっ」


ぎゃあぎゃあ言いつつも
私はみんなに密着して
ちゃっかり田島の隣独占
しちゃってたりして
何だか幸せだった


「いくぞー。せーの、きゅーくみぃー!」


ぱしゃりとシャッター音と
共にみんなの密着から解放
された


「ぶっ」


田島が撮れた写真を見て吹く
みんなにそれを見せると
浜田はきれてて三橋は少し
引っ込んでいて
泉は田島に乗っかり私は
田島に密着しすぎていて
顔が真っ赤だった


「んじゃ、田島焼き増しよろしく」
「おう!」
「・・・もう帰んなきゃな」


浜田の一言で楽しかった
時間があっという間に
しんみりしてしまった


「じゃあ、またね」


私の一言でみんなが
ぱあっと明るくなり
またなと言って別れた



さよならじゃなくてまたね


(みんなありがとう)
(この気持ちも忘れないよ)

20110306.

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