梅雨

「あちゃー、降ってる」


梅雨入りをしたことも
忘れて、朝から晴れて
いたから油断した。傘
忘れるなんて・・・こ
んな時のための置き傘
もない。下駄箱に突っ
立ってられないし。仕
方ない濡れて帰るか


「はあ」
「どしたー?」
「あ、花井」


振り向くと同じクラス
の花井が靴を履き変え
ていた。


「もしかして、傘忘れたの?」
「そう、そのもしかして」
「ふーん。」


ふーん。て他人事だなあ
花井ひどいなんて思った
ことを撤回する。だって
、私に傘を差し出してき
たから。


「あの、あれだ。俺二本持ってるから使え」
「え、あ、ありがとうっ」
「気にすんな。」


耳まで真っ赤にした花井
が帰すのいつでもいーか
らと言い残して部室棟の
方へ行った。

私は花井が傘を二本持って
ないのを知ってる。だって
花井嘘つくと必ず逃げるん
だもん。でも嬉しいな。緩
む顔を必死に抑えた。



梅雨


(今度は相合い傘。なんてね)

20110605.












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