春雨


静かに降る雨は私の
身体をじわじわと冷やす

まるで私の心と同じ
泣いてるんだ
傘もささずに空を見上げ
立ちすくんでいた私に
勇人は傘を傾けてきた


「傘もささずに、風邪ひくよ」


柔らかく笑う勇人に
私は無言で頷く
きっと今、酷い顔してん
だろうなそう思い下を向く
勇人の顔見ないように
じゃないと泣いてしまいそうだから


「辛いなら俺使っていいから」
「・・・勇人、少し肩かして」
「ほいよ」


潤んだ視界から少しだけ
見えた切ない勇人の顔
知らなかったこんな顔する
なんて。ごめんね勇人と心で
呟いて肩に顔を埋める


「…っ」
「俺、ずっと待ってるから」


勇人でない違う人を好きで
しかもフラれた私を勇人は
私をずっと待っていてくれる
そんな勇人の想いと勇人を
傷つけてしまっている
ことに涙が溢れ止まらない


「ありがとうっ…」
「うん」


背中をぽんぽんとあやすように
してくれた手に少し力が込められた
顔を上げると柔らかく笑う勇人がいた



春雨


(最初から勇人を)
(好きになっていれば)

20110307.











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