立春


ふと通りかかった土手に
腰を下ろす

目の前に広がるグラウンド
球児がたくさんいる

野球をやっている少年は
カッコイイと思う

持っていたスケッチブック
を開き少年たちを見ながら
空、グラウンドを描いていく

鉛筆で描いていくうちに
色をつけたくなったり
一人一人の表情が描きたく
なってしまって

もっとグラウンドに近づこう
と思った瞬間に


「ごめんなさーい!!」
「!」


叫ぶ声がしたと思ったら
目の前を早い球が通過していった
急な出来事に私は固まる


「すんません大丈夫ですか?」
「あ、はい」


球児にしては小さい少年に
さっき飛んできた白球を渡す
と無邪気に笑う

多分同い年くらいかな


「ありがとうございます!」
「野球頑張って下さい」


私もつられて笑顔になると
無邪気な少年は更にぱあっと
笑顔が広がった


「これ、すげー!」
「ありがとう」
「なあなあ、俺のことも描いてよ」
「うん、いいよ」


やった!と嬉しそうに言うと
無邪気少年は白球を手に
グラウンドに戻っていった


さっそく鉛筆を持ち
無邪気少年を見つめて
スケッチブックに描いていく


「・・・無邪気少年かっこいいなあ」


自然と描いている手が止まる
くらい無邪気少年に見惚れて
しまう

囁いた言葉が聞こえたのか
少年はこちらを向いてニィと
笑った



立春


(春が始まる)

20110208.











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