ホワイトデーの夜




一か月前の女の子には一大イベント。
バレンタインデーではまだちゃんと
言葉にして好きとは伝えていないけど
、あの日から隆也とは一緒に帰るよう
になった。今日も部活終わりに校門で
待ち合わせしていつものように帰るはず。


「お待たせ。待ったか?」
「ううん、私もさっき来たとこだから」
「そっか、ならいー。」


夕日に照らされた隆也が眩しくて目を
細めると、あんま見んなと小さく言っ
て大きな手が不器用に私の手を包み込
んだ。


「あったかい」
「お前は逆に冷たすぎんぞ。」
「というか、隆也は熱いくらいだね」


何気ない会話にも幸せに感じていると
隆也が私の手を強く握り返してきたの
でびっくりしているといつもと違う道
を歩いていた。


「ちょっと寄り道。いいよな?」
「うん。」


私が何処に行くのと聞こうとしていた
ことが分かったように聞く前に隆也は
黙ってついてこいという勢いだったか
ら私は手を握り返すと隆也は少し笑う。


「何ここ、穴場?すっごく綺麗!!」
「だろ?」
「隆也はロマンチストだね」


私が笑うと隆也はウメボシするぞと
真っ赤な顔で言うからさらに笑って
しまった。


「悪いかよ」
「・・・ううん。そういうところ含め好き。」
「!・・・俺もお前が好きだよ」


隆也に優しく抱き寄せられると耳元
で先に言うなよな。とすねたような
声に耳が熱くなる。きゅっと目を瞑
ると唇に一瞬柔らかい感触。目を開
くと辺りはもう真っ暗だった。



ホワイトデーの夜


(やっと言えた、)
(好きの言葉。)

20120314.




- 58 -

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


もどる