あれから



バレンタインデーのあの夜から
私と泉くんはぎこちないけど、
少しずつ彼氏彼女の関係を進展
させていっている。


「い、泉くん」
「ん?てか、そろそろ苗字呼びやめねえ?」
「あ、うん。でもなんだか恥ずかしくって・・・」


ぼっと音がしそうなくらい顔を
真っ赤にさせながら泉くんはあ
ーもう、調子くるう。と髪をわ
しゃわしゃにした。


「あんま、かわいいこと言うなよ」
「え?」
「ここどこだか分かってんの?」
「いずっ・・・!」


泉くんの部屋と言おうとしたら、
いきなり唇にキスされ、気が動転
する。


「で?」
「こう、すけの部屋です。」
「良く出来ました。」


ほんのり頬を染めて無邪気に笑う
泉くんに見惚れていたら両頬を引
っ張られそんな顔真っ赤にすんな!
ばーか!の一言。泉くんもどうし
ていいか分からなかったみたい。


「・・・ホワイトデーのお返しだけど」
「孝介、くんと一緒だからなにもいらないよ」


自分で言っておきながら恥ずかしい。
いず・・孝介くんは目を見開いて私
を見つめると今度は優しく笑って私を
肩にひき寄せた。



あれから


(寄り添うことまで、)
(ゆっくり進んでいます)

20120314.




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