溶けるビターチョコレート




「ふああ〜」


今日も部活を途中で抜けてきてバイトに行く

バイト先に着くのちょっと早いくらいかなあ
と考えいつもよりゆっくり歩いて駅に向かう

途中にある商店街は何処もバレンタイン一色
できっと今年はもらえねえよなと諦める

駅に着くと女の子が一人
ぽつんといるだけだった
その子を横目に通り過ぎよ
うとしたら声をかけられた


「あのっ!応援団の浜田さんですよね?」
「そうッスけど、」
「前に試合見に行った時から知って、
それからずっと好きでした!」
「え!嬉しいっす」


余裕そうに答えてみるも
のの内心は心臓ばくばくだ


「応援してるときの浜田さん凄く
かっこいいです。また見に行きますねっ」


そう言って名前も知らないその子は俺に
可愛らしい包みのチョコを渡して走り去った


「・・・」


一瞬の出来事にぼーっとする
まさか駅で知らない子にチョコ貰えるとは

にやけそうになる顔を
抑えつつバイトへ向かった



溶けるビターチョコレート


(口に広がる)
(丁度いい苦さ)
(俺の好きな味だ)

20110213.




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