星明かりの下





星を見つめている
水谷を見つめる
いつもこうやって
二人きりで星を
見ていたのに
今は恋人として隣に
いる。ただ、それだけ
がいつもと違うだけな
のに私の心臓がうるさい


「どったのー?」
「えっ」
「いや、星見てないなと思って」


星を見ていなかった
ことがばれていた
まさか水谷を見ていた
んだよなんてさらりと
言えない


「見てたよっ」
「・・・俺を?」
「みずったにじゃない!」
「ふーん」


ニンマリする水谷の
緩い顔を見てつい笑い
そうになるのを抑えて
そっと深呼吸をする

隣にいる水谷を盗み見ると
私のことを見ていたらしく
バチっと目が合う
慌てて目を逸らそうとする
けど真剣か顔をしていたから
目が逸らせなくなってしまった

「あのさ、」


その言葉と共にぐっと
水谷が私に近づいて来た
今までに見たことのない
表情をするのは二回目で
後ろに下がろうと思った
けれど、身体が固まって
しまって思うように動かない


「名前で呼んで」
「ふ、みき」


水谷、いや文貴の
息をはく音が聞こえる
それからふはっ、と笑う声


「そうやって呼んで欲しかったんだ」
「・・・ふみき」


自然と笑みがこぼれた
水谷が目を見開いて
それから顔を真っ赤にする


「今の反則・・・」


抱き寄せられて
気づいたら目の前に
ふみきがいる



星明かりの下
私たちは初めて
キスをした

きらきら光る星たちが
今日も私たちを照らしている



星明かりの下


110330.
fin

title:確かに恋だった





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