おお振り(短編) | ナノ








付き合ってもう何度目のデート
になるのだろう。
最近はお互いの大学の講義で忙しく
夜ごはんしか食べに行けなかったけど
今日は久しぶりに一日空いていて、
さっきは、ショッピングをしてお互い
に服を買った。


「今日は一日一緒にいられて嬉しい!」
「うん、そうだね。幸せだよ」
「へへへ、今日楽しみすぎて、昨日あまり眠れなかった。」


横浜の街を歩きながら、そんな可愛いことを
言う彼女にどきどきして、こんな人ごみの中
俺はにやけそうになるのを必死におさえた。


「そういえばあの観覧車乗る?」
「・・・うん!」


観覧車か、頂上についたら・・・なんて
ベタな展開を計画している自分が笑えるけど、
彼女も意識してるのかなとか、少しでもそんな
期待しててくれたらいいな、思ってしまう
自分もいたりして。

観覧車に乗ると向い合せでなく自然と隣に
座り、どちらからともなく手を繋ぎあった。


「・・・」
「・・・夜景めっちゃ綺麗」
「ほんとだね・・・。」


無言のまま横浜の夜景を眺めつつ
頂上へ到達する。

そっぽを向いたままの彼女を呼ぶと
ほんのり頬が染まっていてどきっとしてしまう。

そわそわどきどきしてたの俺だけじゃなかったんだ


「な、に?」
「目とじて」
「え、えちょっとまって・・・・・」
「・・・」


彼女の言葉も聞かず強引に唇を確かめると
小さくリップ音が鳴り
そっと離れると真っ赤になる彼女の
顔が目の前にあって爆発しそうだった。



はじめて


(キスされるとわかって乗ったのに)
(ドキドキしすぎてわけわかんない)

20121029.
ちょっと強引なぐっちもいい







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