「おねーさん!」
帰り道の途中にあるお花屋さんから 聞き覚えのある元気な声が響いてきた。 主はすぐに田島だと分かって、何してんだろ なんて思い、壁に身を隠して様子を伺う。
「おねーさん、とにかく可愛い感じで 花いっぱいの花束作って!!」 「なに?きみ今日告白でもするの?」 「にへへ、違うよ。誕生日の子に贈るの!」 「それにしても誕生日にお花贈るなんて その子のことトクベツなんでしょ?」
ほんのり顔を染めた田島と花屋の綺麗な お姉さんが楽しそうに笑っているのがわ かる。なによ、あんなにデレデレしちゃ って。向こうの会話が聞こえないから更 にイラついた。
「おねーさん!ありがと!!!」 「頑張ってね!」
なんて声が出入口で聞こえると田島は花束 を片手に嬉しそうに出てくる。見つかると 思い逃げようとすると田島に名前を呼ばれ すぐに見つかってしまった。
「ちょーどよかった!」 「なにが?」 「誕生日おめでと!」 「え、え?なんで」 「お前誕生日だろ?え、もしかして違う?」 「いや、違わないけどなんで。」 「イズミに教えてもらったー」
そっか、でもなんでそこまでして 私に花束なんか・・・。目の前の 可愛らしいボリュームたっぷり の花束を目にして疑問が膨らむ。
「いいか?よーく聞けよ?」 「俺、お前のこと好き!!」
ぼふっと頭から湯気がでそうな勢いで 全身が一瞬で熱をもつ。そんな、急に 言われたって。何がなんだか
「お前は?」 「・・・花束、もらってあげる。」 「え?」 「だから、私も好きです。」
花束を抱きかかえると田島は私を 花束ごと思いきり抱きしめた。
「ちょ、ちょっと花束つぶれちゃう!」 「お前の誕生日、これから記念日だな」
にへへと笑う田島に私も笑った。
ハッピーバースデイ!!
(花束に愛をこめて)
20120602. 誕生日ゆめとやらを書いてみたかったの、 自分誕生日じゃないけども^^
prev next
|