おお振り(短編) | ナノ








「はあ、彼氏の誕生日忘れるってアリか?」
「まあ、水谷だしな」
「三が日の次の日だもんなー!」


俺は今、泉と田島のいる9組にきて
彼女に誕生日を忘れられてショック
だったことを話したが、二人共俺を
慰めるどころか傷をえぐってくれて
る…。


「お前ら慰める気ねえだろ…」
「あるわけねーよ、だって彼女悪くねえよ」
「4日に生まれたのがしょーがない!」
「はあ?!…あ、うん、そうだね。」


この二人に相談というか慰めてもらお
うなんて思ったのがばかだったよ。
あんがと。と短くお礼を言って9組を後
にする。


「あ、ふ…みき。」
「…」


やっと見つけた。と困ったように笑って
俺の側にくると、誕生日は本当にごめん
と深く頭を下げる彼女。


「俺のこと好きじゃないんでしょ」
「また、そんなわけ…」
「誕生日忘れるくらいどーでもいいヤ…!」


どーでもいい奴なんだろ。そう言おう
として彼女が俺に飛び付く。
本当は彼女そんなこと思う子じゃない
ってわかってる。でも、やっぱりスネ
ちゃう俺は本当にガキだ。


「ばかふみき」
「ごめん」
「私もごめんなさい。」


彼女をそっと抱き締めると
照れ笑って俺から少し離れた。


「遅れたけど、プレゼントあげる」
「…ん」


俺の唇に彼女の唇が重なる。
一瞬でよく分からなかったけど、
一番嬉しいプレゼントかもしれない


俺たちはおでこをくっつけて
笑い合った。



忘れられた誕生日


(来年は忘れないでね。)

20120108.
ふみきごめんね!











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