いつものように昼を食べに屋上 へと向かう。今日は天気もいい し暖かいから気持ちがいいだろう なと思いながら、少し開いている 屋上の扉に手をかけ屋上に入るの を躊躇う。
「…」 「…!」
少しだけ開いている扉から見えた のは、同じクラスの女の子だった。 横顔が見えた瞬間、俺はフリーズ してしまう。彼女から静かに流れる 涙はそれは悲しくて切なくさせるよ うで。そして、あまりにも綺麗で妙 に俺をどきどきさせた。
「…どうした?何かあった?」 「…!ごめん、何でもないの」
気づいたら俺は彼女の前にきて話し かけていた。普段良く笑う彼女がこ うして涙を流していると新鮮というか 違和感を覚える。
「やっぱ、キミは笑っている方がいいよ」 「…え?」
人前で泣かない子はあまり土足で踏み 込んではいけないと思っていたのに、 やっぱり俺は放っておけなくて…。何 があったの?と聞いてしまった。 それが、俺の悪いクセ。
「幼馴染みをフったの」 「それで涙を…?」
こくんと涙を抑えながら頷く。
「大切な幼馴染みで、それ以上でも以下でもないから」
ぽつりぽつり話してくれる彼女を 彼女の言葉を受けとめる。 何となく状況が分かって、俺より 背の低い彼女の目線までかがんで そっと笑いかけた。
「頑張ったな。キミはちゃんと、相手に気持ちを伝えたんだ。」 「…っ」 「だからもう、泣かない。泣かなくていいんだよ。」
俺の言葉で、彼女は泣き笑う。 その流れた涙は、幼馴染みを 想って流した涙に少し羨ましくなる。
彼女の涙に触れると冷たかった。
冷たすぎる涙
(泣き笑った彼女を思わず) (抱き締めそうになった)
20111118.
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