おお振り(短編) | ナノ








大学での授業が終わって、
野球のコーチをしに土手
へと向かうと、いつもなら
ちび達がいるはずなのに
いない。

特に連絡も入ってないから
先にアップでもしとくか。

ベンチにかばんを置きに行くと
ベンチの下からちび達が出てきて
俺に抱きついてきた。


「なんだよーったく。みんな来ねーのかと思った!」


そんなわけねーじゃん!と少し照れた
ように言うコイツらが可愛くて頭をぐしゃ
ぐしゃにしてやると顔を歪めた。


「にーちゃん、あのな誕生日おめでとう!」
「そっか、俺今日で二十歳だ!!」
「にーちゃんはまだ子どもでいけるな」
「なんだとー、俺は立派な大人だぜ」


本当は、まだ子供でいたいけどね。
こうやって、ちび達と野球してたいし。
誕生日知っててくれてあんがとなと頭
を撫でるとコイツらはプレゼントがある
から待っててとちび達は走ってプレゼント
を取りに行った。

プレゼントまで用意してくれてんだ。
その気持ちが嬉しくて少しだけ涙が
出そうになった。


「!」
「久しぶり、ゆう。」
「お前、」
「わっ」


プレゼントを取りに行ったちびが
俺の大好きな奴の手を引っ張り連
れてきた。
ビックリして、声がでなくて
それで嬉しくて気づいたら抱
きついていた。


「やべ、ちょー嬉しい」
「私もだよ」


ふにゃと笑うコイツに我慢できなく
てちゅーするとちび達がひゅーひゅー
と騒いだ。


「ゆう、誕生日おめでとう。」
「あんがと!」


照れ笑ったコイツがあまりにも
可愛くてもう一度キスをした。



素敵なプレゼント


(誕生日のためだけに)
(俺に会いにきてくれた)
(彼女が愛しい。)

20111016.
田島はぴば!







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