うちの料理人は腕利きだ。
色とりどりのスコーンを素晴らしいバランス感覚で積み上げ、その周りを数種類ものソースで囲む。もちろんそれだけでは飽きるでしょうと、スライスしてこんがりと焼きあげたりんごのチップや、小さくてかわいらしいフルーツを着飾ったビスケット、割れば湯気をたてたチョコレートソースが溢れ出る焼きたてのワッフル、みずみずしいフルーツの盛り合わせなどが、大きな白いテーブルに所狭しと並べてある。うちの料理人は腕利きだ、俺はこれでもかと言いたげにテーブルの上で鎮座している食べ物を見て、今頃厨房で満足気に笑みを漏らしているであろう男に拍手を贈りたくなった。
ティーポットを手に取る。飲み物を作るのは俺の役目だ。今日は何にしようか、そうだ子ねずみのお気に入りのストロベリーティーにしよう。馴れた手つきで紅茶を作れるのは、このあほらしいティー・パーティーを不本意ながら毎日催しているからだ。――つまりは、嫌々やっているうちに覚えてしまったのである。本当、パーティーをやろうと思いついた当時の自分を殴りたい。
さて、準備はすべてととのった、あとは客が来るのを待つだけだ。

とりあえず今日こそは穏やかに過ごせるようにと、祈ってみよう――無駄だとは思うが。