『戻って来たぞー!』

「つ、疲れた……」

 私はバタリとベッドへ倒れ込んだ――が、ある事を思い出した。


「そうだ、学校!」

 私はベッドから飛び起きた。このままだと遅刻する!


『慌てるでない。ここは異次元空間。時は止まったままじゃ』

「そ、そうなんですか……」

『ちなみに今までで帰って来ていたのもここじゃ。残念ながら現実世界では無かったんだなぁ』

「なるほど。じゃあパソコンを壊しても問題ありませんね!」

 私がスッと手を構えると、ゲンナイさんの顔は真っ青になった。


『ぱ、パソコンはお主のものじゃよ!? だからお願いやめてえええ!』

「なんだ、残念。流石に光子郎さんに頂いたパソコンは壊せませんよ」

 私がにこりと笑うと、ゲンナイさんはほっと息をついた。


「……で、そろそろ現実世界に戻してくれませんか?」

『その前に、ほれ!』

 ゲンナイさんの合図で、パソコンの画面が切り替わる。そこに現れたのは――。


『湊海様、お久しぶりです』

「ら、ラブラモン!」

 私は思わずパソコンを掴んだ。本当に、本物の、ラブラモンだ……!


『付き合ってくれたお礼じゃ。他のみんなには内緒じゃよ』

「ありがとうございます!」

 色々大変だったが、これで全てチャラだ。ゲンナイさん、本当にありがとう。心の中で悪態ついてごめんね! 嘘、やっぱり悪いとは思ってない!


『さて、湊海。お主は今日、色々な年齢を経験したな? どれが1番良かった?』

「うーん……そうですね……」

 正直に言うと、どの年齢も楽しかった。普段出来ない体験もあり、みんなの普段見せない姿もあり……。それでも、私は――。


「ふふ、やっぱり私は今の年齢が1番ですかね」

 私はそう宣言をした。


『ええ。それに、これから湊海様はどんどん成長なさるんです。何事も、自分のペースで進んでいくのが1番ですよ』

「うん!」

 私はラブラモンの言葉に大きく頷いた。自分のペースで、ゆっくりと――。


『うむ。それが分かれば湊海は大丈夫じゃ。現実世界でも、しっかりな!』

「はい! ありがとうございました、ゲンナイさん! ラブラモンも!」

『湊海様、お元気で。また会いましょうね』

「……うん、またね!」



 こうして私は、現実世界へと戻った。時計を見ると時間は1分も経っていなかったので、あれが本当にあった出来事か分からない。しかし、私の胸には刻まれている。――たくさんの、思い出が。




「また、会おうね……みんな」





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