la mer

 ララが二人に拾われてから3ヶ月。毎日のように働く中で、ウエイトレスの仕事にも慣れてきていた。ゼフがシェフ募集の張り紙を島々に貼っていたらしく、従業員の数も増えた(かなり柄が悪いが)。たまに海賊が来て、船を乗っ取ろうとしてきたが、その度にゼフ達が追い払っていた。
 ララ達は厨房に隠れるように言われ、その通りにしていたが、サンジは不服に思ったらしく、ゼフに蹴り技を教えてもらうようになった。

「ねえゼフ」

 閉店後、厨房で皿を洗いながら、仕込みをしているゼフに問いかける。

「何だ?」

「私も戦えるようになりたい!」

 ゼフは仕込みを止め、手を拭きながらこちらを見た。

「……正気か?」

「正気だよ! 私も守られるだけじゃやなの」

 ゼフはしばらく考え込んでいるようだったが、やがて言った。

「……まァ、先のことを考えりゃ、教えるのがいいかもな」

「教えてくれるの!?」

「あァ。その代わり、おれは厳しいぞ。根を上げたら二度と教えねェからな」

「わかった!」

 それからは、サンジと一緒に蹴り技を教わるようになった(サンジは最初は驚いていた)。ゼフの教えは本当に厳しかったが、ララは根を上げることなく頑張った。
 皆と同じラインに立ちたい。その強い意志が、ララを突き動かしていた。

20171219
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