la mer

 ゼフと一緒にララ達は買い出しから戻り、冷蔵庫に食材を入れたあと、二人は少し休憩するために甲板に出た。
 サンジがおもむろにポケットから何かを取り出す。それは四角い箱のようだった。気になったララが尋ねる。

「サンジ、何それ?」

「これァタバコさ、これを吸えば大人になるんだ!」

 そんな魔法のアイテムがあるなんて。驚くララの隣で、サンジは箱から白い細長いものを取り出し、いつ買ったのか、ライターで火をつけた。もくもくと煙が上がる。

「この煙を吸えば、大人になるの?」

 私も吸いたい!とわくわくするララに、サンジは首を振った。

「ララはダメだ、これは大人になる代わりに不健康になる煙だからな」

「えっ、そうなの? サンジは不健康になってもいいの?」

「おれはそのデメリットを受けてでも大人になりてェんだ。クソジジイに、おれが大人だって認めさせるんだ!」

 言って、サンジはタバコを口に咥え煙を吸った。

「ゲホッ、ケホケホ」

「大丈夫?」

 むせる彼の背中を、ララがさすってあげる。ちょうど重荷を運んでいたゼフが通りがかり、その様子を見て言った。

「やめとけ、タバコなんざ。舌が狂うぜ」

「クソジジイ……!」

 サンジはゼフに見せつけるようにタバコを咥え、そしてそのまま笑ってみせた。

「へへ……大人だろ?」

「……フン、そうやって大人ぶるところがガキだな」

「何だと……!」

 サンジは怒ったが、苦しいのかまたケホケホと咳をした。ララはその背中をさすりながらゼフを見る。ゼフはサンジを見てふっと笑った後、食材の入った箱を持って厨房へ入っていった。


20171225
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