次の日は念の為安静をとって、その次の日からララは働くことになっていた。ここは完成したばかりの海上レストランというところで、それがゼフの夢なのだとサンジに教わっていた。その夢の場所で失敗するわけにはいかない。
開店前にウエイトレスの基本と心得を学んだララは、小さな体型に合った黒のワンピースを着て、その上にエプロンをつけていた(サンジに似合うと言われ、嬉しかった)。ドキドキしながら扉の前に立ち、開店に臨む。外からは早くもお客さんたちの声が聞こえてきていた。
「おまえら何緊張してんだ?」
ゼフの平然とした声が落ちてきて、ララは隣を見る。コックコートを着たサンジも、緊張した面持ちで立っていた。
「う、うるせェな、緊張なんかしてねェよ!」
「そう粋がるな、チビナス」
「粋がってねェ!!」
「オーナーは緊張してないの? すごいね!」
「あァ、世界の海で料理してきたからな」
世界の海?とララが首を傾げたところで、開店時間になった。ゼフが店の扉を開く。同時にララとサンジは頭を下げた。
「いらっしゃいませー」
お客さん達がガヤガヤと辺りを見回しながら入ってくる。ゼフはその後ろ姿を見ながら言った。
「最初にしては上出来だろう……サンジ、ララ、しばらくしたら注文を取ってこい」
「はい!」
「あァ!」
ゼフが厨房の方へいなくなり、サンジとララは注文をとるのに大忙しだった。やがて落ち着いてくると、サンジも厨房に戻り、ララは一人で料理を運んだ(重たいものはゼフが持って行ってくれた)。てんてこ舞いの1日が過ぎ、やっと閉店を迎えた。ゼフはサンジとララをレジへと呼んだ。
「二人とも、チビナスの料理の腕は別として、よく働いてくれた。これがおまえらの取り分だ」
そう言って、500ベリーずつお金を渡される。
「わあ、ありがとう!」
「何だ、これっぽっちかよ」
「もらえるだけありがたいと思え。あとはこの船の借金にまわす」
ララはもらったお金を目を輝かせて見ていた。心地いいつかれが全身にあり、働くのはなかなか悪くない。
ララはもう一度ゼフに感謝の言葉を伝えた。
20171219
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